Story of Stars! | ナノ

私たちの日常




「おっはよー拓斗ー!」
「おはよう、双葉」
「おはよー元気っ子」
「おはよう彗くん。いい加減名前覚えてよ」
「えー……なんてったっけ?」
「もう……!楠木双葉だよっ」
「双葉。相手するだけ無駄だよ。彗は人の名前を覚えるの、苦手だから」
「でも……」

高校に入って、小学校入学前に転校した幼馴染みと再会した。その幼馴染み――吉岡拓斗には、少し(いや、かなり?)変な友だちができていた。その子の名前は小野川彗。彼は毎日のように、教室でよくわからないものをいじっていたりよくわからないものを描いていたりしていて、言動もたまに謎だったりする。そんな彼に私の名前を覚えてもらおうと必死になっているのだけれど、彼は私のことを『元気っ子』として完全に記憶してしまったようなのだ。

「そーそー、無駄だぞー」
「自分で言うな」
「あいたっ」

ぺしっとかわいらしい音をたてて、拓斗が彗くんのおでこを叩いた。そのせいで彗くんのおでこは少し赤くってしまっている。それをおさえながらむっと頬を膨らませている彼がなんだか可愛らしくて、思わず笑ってしまった。

「……何がおもしろいんだよ、元気っ子」
「え!?ええと……、」
「わーらーうーなー!!」
「わっ、ちょっ!?ごめん!謝るから許して……!」
「やだ!デコピンさせろー!!」
「断るっ!おでこ赤くなっちゃうもん」
「あっ、こら逃げるなあー!」
「二人ともー、暴れすぎないようにねー」
「ちょっと拓斗!!彗くんを止めてっ」
「やだ。面倒。……あっ、先輩発見」
「えっ?ちょっと、待って……!」

怒って私を追いかけてくる彗くんと、彼から逃げる私。それを助けるわけでも見ているわけでもなく、何も見なかったかのように藤咲先輩の元へ行ってしまう拓斗。
この学校に入学してから約一ヶ月。これが、私たち三人の日常になりつつあるのだった。








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