Story of Stars! | ナノ

いつもの部室




「おはようございまーす……ってあれ。先輩?」

担任の先生に呼び止められて少し遅れて部室へ来たら、莉緒先輩ひとりが机に顔を伏せていた。声をかけてもぴくりともしない。本当に寝てる……?

「莉緒せんぱーい」
「…………」
「反応なし、と……。ま、今日は暖かいからなぁ」

そう呟いたのとほぼ同時に部室のドアが開き、現れたのは部長と他の先輩方。

「あら、もしかしてお待たせしちゃった?」
「あ、いえ。僕は今来たとこです」
「そう。……あれ、莉緒ちゃんは?」
「寝てます。声をかけても反応しないので」
「あらら……そろそろ練習を始めなきゃなんだけど、起こすのも可哀想よねぇ」
「ダメですよ部長、ちゃんと起こさなきゃ。莉緒先輩が怒ります」
「それもそうね……」
「僕が起こしますから準備しててください」
「本当に?」
「はい。僕、先輩の弱点知ってますからすぐ起こせますよ」
「それじゃあ、お願いしようかしら」
「任せてください」

にっこり笑ってそう言えば、部長は他の部員たちに指示を出し始めた。僕はすたすたと莉緒先輩の背後に回り、そっと両手を脇腹に持っていき――。

「こちょこちょこちょこちょ」
「ひゃっ、あっはははははっ」
「おはようございます莉緒せんぱーい」
「おは、よっ……あはははははっ、ちょっ、やめてーっ、」
「やですー」
「いや、むりっ、あはははっ」
「仕方ないですねぇ」

ぱっと脇腹から手を離せば、先輩は肩を上下させながらきっと僕を睨んでくるけど、全然怖くない。むしろ……

「その顔かわいいですよ、先輩」
「っ!……反省してないでしょ、拓斗くん」
「反省なんて必要ありませんよ。僕、部長に頼まれて莉緒先輩を起こしただけですから」
「もうちょっと別の起こし方があったでしょうに……」
「こうすると先輩の反応がおもしろいので」
「私で遊んでるよね、絶対……」
「さあ、どうですかねー」
「あら、起きたの莉緒ちゃん」
「あっはい!おはようございます部長!!」
「おはよう。それじゃあ始めましょうか」
「はい!」
「はーい」

莉緒先輩に続いて部員たちの輪に入っていき、いつも通りの活動を始める。こうして莉緒先輩で遊ぶのが僕の日課。これが、いつもの演劇部。








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