次の日、姫が軟禁されている部屋の前で様子をうかがうように顔を出せば、部屋の前には見張りも誰もいない。彼女は城内の散歩に出ているのだろう。
三人が部屋に入って彼女の帰りを待っていると、しばらく経ってからガチャリと扉が開く音が聞こえた。

「すみません、お待たせしてしまいましたか?」
「いや、大丈夫だ。それより悪いな、わざわざ見張りを引き離してもらって」
「いえ、これは私がやりたくてやっていますから」

にこりと笑って彼らの近くに座り、きらきらとした顔で三人が話しを始めるのを待っている。三人はふっと笑って、旅の話しを始めたのだった。姫は三人の話しをとても楽しそうな顔をして聞いいた。話しをしている三人も、姫につられてなのか、とても楽しそうだった。

「やっぱり、お城の外は楽しそうです」
「そうか?魔物もいるし、大変だぞ?」
「楽しいですよ、きっと。少し、あなた方が羨ましいです」
「羨ましい?」

リアが彼女を見ながら同じ言葉を口にすれば、姫はにっこりと笑って質問に答える。

「私、物心がついたときからずっとここにいたから……自由に旅ができるということが、羨ましいんです」

彼女の顔はいつの間にか、笑顔から切なげな表情へと変わっていた。それを見ていたユーキは、静かに口を開いた。

「……それなら」
「え?」
「自由になりたいなら――」

ユーキはすっと静かに立ち上がり、言葉を続けた。

「連れ出してやるよ」




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