姫が軟禁されていた部屋から与えられた部屋に戻って来てから、彼らはシャワーを浴びたり荷物を整理したりしていた。
「……あの子さあ、ずっとあそこにいるのよね」
ぽつりと呟いたリアの言う“あの子”とは、城の部屋に軟禁された少女のこと。
彼女は濡れた髪をタオルで拭きながらベッドに座り、窓の外を見る。
「一人でずっとあそこにいて、外の世界に憧れてたのよね」
「そうなんだろうね……どんな気持ちなんだろ」
「……想像なんてできない。でも、あたしならあそこから出たいって思う」
「できることなら連れ出したいけど……」
ちら、とソウはユーキを見る。連れ出したいけど、彼が反対するようならリアを説得するつもりでいるらしい。
ユーキはその視線を感じたらしく、少しだけ考える仕草をし、それからソウとリアを見て口を開く。
「俺だって、あいつを連れ出してやりたいとは思ってる。でもあいつに何も言わずに俺たちが決めることじゃないだろ」
「……つまり、あの子がどうしたいと思ってるかによって行動を起こすってこと?」
「まあ、そうだな」
「なら明日。あの子に意思を聞きましょ。いいわよね」
「構わねえよ、別に」
ユーキの言葉を聞いたリアが少し安心したように笑ったのを見たソウは、困ったような笑みを浮かべてユーキに近づき、小さな声でこう言ったのだ。
「ごめん、ありがとう」
その言葉を聞いたユーキはふっと笑ってソウの肩を軽く叩いた。
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