部屋の中にいる少女は、床に散らばるように落ちているとても長い漆黒の髪に、真っ黒な瞳をしている。そして身にまとっている衣装は、髪や瞳とは逆の、白いドレス。
部屋にある唯一の窓からこぼれる月明かりで、彼女の姿は美しく浮き上がっている。
「……なんか、僕たち大変なことしちゃった?」
「……かもな」
「あの子、ここのお姫様じゃないの……?」
リアの言う通り、彼女はどう見てもこの城の姫。それなら、部屋の前にいた見張りたちにも納得がいく。
「あ、あの……」
綺麗な澄んだ声。その声は、部屋にいる姫のものだった。
「あなた方は、旅人様ですか?」
「……………お邪魔しました」
そう言って三人がほぼ同時に体を方向転換したとき、彼らを止めるために彼女は慌てて声をあげる。
「ま、待ってくださいっ!!」
彼女の声に足を止め、姫を見る三人。姫は身を乗り出し、彼らに言いたいことを言う。
「お話しを……私に、お城の外のお話しをしてくださいませんか……っ?」
その言葉に、三人は頭上に疑問符を浮かべたのだった。
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