カチャリ。案内された部屋のドアを開けて、三人は部屋を見渡す。

「お、広い部屋だね」
「そりゃ城の中だしな」
「ほんと、びっくりだわ。城の部屋が宿屋として使われてるなんて」
「そりゃ宿屋もねぇわな」
「無料でおもてなしアリ!だもんねー」
「確かに、なかなかないわよね。そんな町」
「だねー」

そう言ってソウはベッドに飛び込み、それを見ていたリアが慌ててソウに声をかけた。

「兄さん!そのまま飛び込まないでよ!」
「どうして?」
「ベッドが汚れる!せめて靴脱いでっ」
「えー…じゃあリアが一緒に寝てくれたら」
「却下」
「…………」
「あれ」
「……ユーキ?」

いつもならユーキの突っ込みがくるはずなのだが、彼は何かを考えていて話をまったく聞いていなかった。それを不思議に思った二人はほぼ同時に彼を見る。

「え、あ、わりい。何?」
「いや、突っ込みがこなかったから」
「何か考え事?珍しいわね、本能的に生きてるアンタが」
「一言余計だ。俺だって考え事するときくらいあるんだよ」
「何について?僕たちにも教えてよ」

にっこり。清々しい笑顔を浮かべるソウに、ユーキはひとつため息をつく。

「プライバシーはないのかよ」
「ないない」
「……この部屋に案内される途中に見た、警備兵が守ってる部屋だよ」
「ああ」

ふたりは唯一、警備兵が守っていた部屋を思い出す。

「あれね。確かに気になるわよね」
「あれだけ警備兵がいるなら何かあるのかなぁとか思ったけど」
「守ってるってより見張ってる感じしてたから気になってたのよね。何か珍しい生き物でもいるのかしら」
「…………乗り込むか」

ユーキの独り言のような言葉に、ソウとリアは目を丸くしたが、二人はすぐにふっと笑みを浮かべた。

「賛成!」




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