町医者の元へ行こうと歩を進めていたユーキとアイリスは、向かいから歩いてきた見覚えのある人物たちを目にし、動きを止めた。
「ソウさん!!」
二人をはっきりと認識したアイリスは、すぐにソウの名前を呼んで走り寄る。ユーキはその後ろを、普段通りの速さで歩いていく。
「やあ、アイリスちゃん」
「お怪我は、大丈夫なんですか……?」
「うん、だいぶ塞がったよ」
そう言ってアイリスに怪我の場所を見せるソウ。そこには、細い線が一本走っているだけだった。
「あ……」
「やっぱ傷痕は残るんだな」
「仕方ないわよ。町医者なんてそんなもん」
「腕は動くし問題ないよ」
「ならいいんだけどな」
「あ、アイリス」
ふわりと笑ったソウにユーキは苦笑いを見せる。それを横で見ていたリアはふと思い出してアイリスに近づき、持っていた袋を差し出した。
「……これは?」
「治癒術について書かれてある本よ」
「あ、ありがとうございますっ」
「わからなかったら訊いて。たぶん教えることはできるから」
「はいっ」
「さてと。んじゃ、宿屋探すか」
「そうね。行きましょうか」
「アイリスちゃん、行くよ?」
「あ、はいっ」
本を眺めていたアイリスは顔を上げ、慌てて三人を追う。そうして四人は宿屋を探しに町中をふらふらと歩き出したのだ。
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