ソウを気遣いゆっくり進んでいた一行は、やっと目的地である街――ラーゴに辿り着いた。リアはすぐにソウを連れて医者を探しに行き、ユーキとアイリスはそれが終わるまで街を見て回ることにしたのだ。
「すごい……この街、たくさん水が流れているんですね」
「噂じゃ、水の中に街があるらしい。人間の目線からじゃわかんねぇけど」
アイリスが瞳をきらきら輝かせて歩いているのを、ユーキは気にしながらついていく。街には小さな川がたくさん流れており、家には水車が一つ、必ずついている。ここの人たちは水力を使って生活しているのだろう。
「アイリス、転けるぞ」
「あ、」
ユーキに言われ、アイリスはピタリと止まる。どうしたのかと顔を覗き込めば彼女は反省しているような表情に、頬を染めて恥じている様子もあった。
「すみません、私……」
「気持ちはわからなくもないけどな。ま、ゆっくり見ればいいさ」
「そうですね」
スタスタと歩いて行くユーキの後ろを、今度はゆっくりと、周りに気を付けながら歩き始める。しばらく歩いていると、たどり着いたのは街村の出入り口。大きな川のようなところに、橋が一つ掛かっている。
「この川、俺らが入ってきたとこにも合ったよな」
「はい……橋を渡った記憶はあります」
「他にもあるのかね……」
「どうなのでしょう……何か、あるんですか?」
「ん、まあちょっと気になることがあるだけだよ」
「ええと、街の方に訊いてみてはいかがですか?」
「だな。悪いけど付き合ってもらっていいか?」
「あ、はい。私は構いませんけど……」
「んじゃ、行くか」
「はいっ!」
そうして二人は、街人たちに話を聞きに戻ったのだった。
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