薄暗く狭い路地を歩いていた四人は、先頭のリアがピタリと歩くのを止めたことで止まった。

「ここね……」
「じゃあお願い、リア」
「わかってるわ。兄さんは見張りをお願い」
「うん」
「ユーキは彼女とここにいて」
「りょーかい」

二人に指示をした後、リアは路地から出ていき、人気のない平地に出ていく。

「あの、彼女は何を?」
「ん?ああ、結界を解くんだよ」
「けっかい、ですか……?」
「結界、知らねえのか?」
「はい。……すみません」
「いや謝るなって。……町には魔物から守るための対策があるんだよ。それがリマーレでは結界ってわけだ」
「ええと、結界は魔物に取っては堅い壁ってことですよね?」
「正解。んで、リアは今、それを解いて結界に穴を開けようとしてるんだよ」
「そのようなこと、可能なんですか?」

キョトン、とユーキを見るアイリスに対して彼はふっと笑みを向けた後にリアを見る。

「アイツは天才だからな。……まあ、専門外だから結界の薄い部分を攻撃してるみたいなんだけど」
「すごいですね……」

アイリスもユーキの視線を追ってリアを見る。それと同じタイミングでリアがこちらを振り返る。

「ユーキ!兄さん呼んできて早くこっちに!」
「了解っ、おいソウ!!」
「できたの?」
「呼んで来いって言われたんだよ、早く行くぞ」
「はいはーい」
「ほら、アイリスも」
「あ、はいっ」

三人はリアの元へと急いで歩き出した。リアはそれを確認し、結界に片手をあてた。

「リア、」
「ちょっと待ってて」

そうして目を閉じたリア。数秒後には彼女の手のひらから小さな光が漏れだし、結界が目に見えるようになった。そしてそこはぐにゃりと歪み、人が通れる大きさの穴が開いた。

「ほら早く通って」

リアの言葉に従い三人が外に出て行き、残ったリアは手を離した瞬間に全力疾走し、ギリギリで結界の外に出た。

これで、姫様誘拐計画は成功に終わったのだった。



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