城から逃げ出した四人は兵士たちの目から逃げるように入り組んだ裏路地に入り、しばらく歩いていた。

「とりあえずここで」
「え……?あのっ、ここだと兵士たちに見つかりませんか……?」
「見つかるわよ」
「ではどうして……?」
「そのドレス。走りにくいでしょ?動きやすくするだけならできるし、ここでやろうかなって」
「そんなことできるんですか?」
「まあ、裾の部分をちょっと切るだけだけど……ああ、切ってほしくないって言うならやめるわ」
「いえ、お願いします!」

ばっとリアの両手を掴んだアイリスの瞳はきらきらと輝いていて、リアは苦笑いを浮かべる。しかし彼女の表情には嬉しそうな、そんな笑みも混ざっていた。

「じゃあ切るわね。……ユーキと兄さんは周りを見張ってて。絶対こっち見るんじゃないわよ!」
「はいはい」
「見ないから大丈夫だよ」

そう言って男二人はその場から少し離れ、路地の先で見張りをするように立つ。
それを確認したリアは、持っていたナイフを取り出しアイリスのドレスをビリビリと破っていく。

「あれ……ヒールだったの?」
「ええ」
「よく走ったわね……」
「無我夢中で……」
「痛くない?平気?」

ドレスを破りながらも足の状態を確認するリアに、アイリスはふわりと優しい笑みを浮かべる。

「大丈夫ですよ」
「そう。ならいいけど……でもまあ、靴も変えとこっか」
「え?変えるって、私がですか?」
「そうよ、あなた以外いないでしょ。ちょっと待ってて」

ドレスの裾を破り終わったリアは、持っていた大きめの荷物からブーツを取り出し、アイリスに差し出す。

「あなたの分。履き方わかる?」
「ええと……」
「教えてあげるわ」
「すみません、ありがとうございます」

リアがアイリスにブーツの履き方を教え、彼女がきちんとブーツを履き終わるとリアは荷物を持ち声をあげる。

「もういいわよ。ユーキ、兄さん」
「終わったか」
「じゃあ行こうか」
「こっちよ。着いてきて」

そうして歩き出したリアに続いて、三人も歩き出し、彼らは薄暗い路地を再び進み始めたのだった。



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