summer4
目が覚めたのは、外が既に明るくなってからだった。拓哉は昨日の体勢のまま眠っていた。俺は拓哉の手をほどく。携帯で時刻を確認すると、朝の7時を回っていた。
静かに外に出て、川で顔を洗った。かなり汗をかいていたようだ。
背後で物音がしたので、振り返ると、拓哉が目を擦りながら俺の方へ歩いてきた。
「いきなりいなくなるなよ。ビックリするだろ」
俺的には起こさないようにしたのだが、よく考えれば、朝起きて隣に寝ていたはずの人間がいなくなるというのは、心臓に悪かったかもしれない。
軽く謝ると、
「いや、すぐ見つかったから良かった」
そう言って、拓哉は川の裾で座ったままの俺の頭を撫でた。
子供扱いしないで欲しい。
「よっしゃ!水浴びするか!」
突然そう叫ぶや否や、拓哉は服を脱ぎ始めた。そして川に飛び込んだ。全裸で。
「カイも来いよ!」
川の方から拓哉が俺を呼ぶ。俺はそれを無視して、川の水に手をつけながら涼んでいると、いつの間にか全裸の拓哉が目の前に来ていた。
「ほら、早く服脱げよ」
得体の知れない場所に向かうのは、若干抵抗があったものの、こっちへ来いと手を差し出す拓哉を見て、不思議と大丈夫な気がするのだ。俺は服を脱ぎ、それをきれいにたたみ、水で濡れない場所に置いてから、川の中に入った。
ひんやりと冷たく、一瞬驚いたものの、慣れてしまえばとても気持ちが良い。
「お前まだ全然生えてないんだなチン毛」
そこに毛が生えるものなのだろうか。しかし、拓哉はうっすらと生えていたため、そういう人もいるのかと思った。
拓哉は暫く俺の方を凝視していた。その視線を感じながらも、俺は別段気にすることなく、せっかく入った初めての川を満喫する。
「やべっ」
拓哉は小さくそう呟いたかと思ったら、1人で川の中へ入っていってしまった。
取り残された俺は、少し泳いでみたり、首まで浸かってみたり、なんとなくそんなことをしていた。
拓哉は相変わらず、どこかを向いていた。
俺はさっと体を洗い流すと、すぐに川を出て、服を手に持ち、体を覆いながらテントへ戻った。prev -8- next