one day
中学三年生〜春〜
まだ俺達が三年生に上がったばかりの頃。進路について考え始める時だったかな。
「カイは高校決めた?」
前の席の奴が振り返って、尋ねてきた。こいつが、俺の友人と言える唯一の存在だ。
「俺は、正和目指すわ」
正和高校は自由な校風だが偏差値はそこそこ高い事で評判の学校だ。不良と言われる割りに頭の良い拓哉ならそこを選んで当然だった。
「だって学ラン嫌だし。家から近いし。良いだろ?」
入る前にそんなにドヤ顔をされても。
だが、ならば俺も正和で良い。正直、高校なんてどこでも良い。拓哉と俺は実は家が近かった。だから、俺の家から正和高校も近いのだろう。それは魅力的だ。
まあ、本当はお前と一緒に高校生活も送りたいからなんだけど。そんな本音、口が割けても言えないが。
同じ高校を目指すと伝えると、拓哉は大袈裟なくらい喜び、お互い頑張ろうと握手をした。
そんな何でもない日常が好きだったんだ。何でもないことに笑って、なんとなく日々を過ごしていく。お前と一緒に。それだけで良いのに
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