summer6





川から町での道はほぼ一本道だったため、難なく戻っていくことができた。しかし、問題はここからである。街中の道路というのは複雑である。土地勘のない場所で、かつ家から六時間もかけて走ってきた道の全てを覚えている筈もなく…

スマホを頼りに俺たちはなんとか順調とはいかないまでも、戻っていけた。
しかし、悲劇は突然起きるのだ。

二人のスマホの電源が切れた。
昨日から地図アプリを酷使していたため、スマホの充電は限界だった。さらに不幸なことにお互い予備の充電器を持っていなかった。
あやふやな記憶と勘を頼りに俺たちは進んでいったが、30分もすると、全く身に覚えのない場所に着いていた。

俺は、戻るなり誰かに聞くなりしようと言った。

「いや、もうちょいな気がする」

そう言うだけだった。次第に俺は昨日の疲れもあり、体力が尽きかけていたので、ただ黙って拓哉の後をついていった。

気がつくと、日はすっかり傾いていた。

俺たちは線路沿いを下っていたが、なかなか知っている地名に出会うことはなかった。

そこで、俺の体力は底をついてしまった。
自転車を降り、その場にしゃがみこむ。そんな俺に気がついた拓哉は、俺のとなりに座った。

「ごめんな。疲れたよな」

そう言った拓哉の声も、全く元気がなかった。

電車が走っていく音を聞きながら、俺たちは暫くその場に座り込んでいた。

太陽が沈みかけ、夕焼けの空を眺めていたとき、

「立てるか?」

拓哉が俺の顔を覗きこみながらそう聞いた。
俺は小さくうなずくと、再び二人で自転車を押しながら歩いた。

日が沈んでしまい、俺たちは通りすがりの公園のベンチに二人並んで座っていた。

公園の時計は7時を指している。

俺は、そのまま拓哉の肩を借りて眠ってしまった。





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