3年前、俺はここ西和高校に入学した。その時から俺はあることを決心していた。
なに、簡単なことだ。

人と関わらない。ただそれだけのことだ。

何故かって?
何故なら俺は同性愛者というやつだからだ。マイノリティーは忌み嫌われる、そんなことを中学の時に嫌というほど体験した俺は、こういう風に決心したのだ。
そこまでしなくたって良いと思うやつもいるだろうが、それは違う。
報われない恋なんてしない方が良いんだ。

結局、自分だけでなく、相手も、周りの奴もみんな傷つけてしまうのだから。

そういうわけで、俺はクラスでかなり浮いていた。一人で行動するのが当たり前。ぼっち飯なんて1週間で慣れるものだ。教室の中の喧騒をBGMに外を眺めるというのもなかなか乙なものだ。

そんな中で俺に話しかけてくる物好きも最初は何人かいた。だが、俺はその全てを適当にあしらっていた。そうしていれば、ほんの1週間で話しかけてくる奴はいなくなる。
ぼっちの完成だ。
だが、俺は自分の中でひとつのルールを決めていた。
人に迷惑をかけない。
これは俺の根本的な人格からくる。昔はクラスの代表なんかもしていたから、一人の自分勝手なやつがどれだけ周りに迷惑をかけるかを十分に知っていた。
だから、文化祭の手伝いや授業の実験などは、必要最低限の会話はしていた。

しかし、克彦と言葉を交わすものは皆、声に抑揚がなく表情も固い。事務的な会話をするだけ。とてもクラスメイトとは思えない様子である。
克彦は、それを望んでいた。
友達と笑って話をし、バカみたいなことをするのはとても楽しい。

だが、だからこそ、失ったときのショックは大きい。

自らを傷つけないために、克彦は自分の殻に引きこもっていた。


でも、他とは変わった人間が、近くに一人いた。

「次の時間、移動だって」

何気ない会話。いや、会話とは言えないような代物。

「体育、一緒にペア組んでくれる?」

なのに、他の人の言葉とはどこか違っていた。

そう言ってくる声は、少しだけ暖かく感じた。

「文化祭の準備、一緒にやろうぜ」

壁の外から何度も何度も呼び掛けてくるその声は俺に向けられていた。不運にも、そいつとは高校で三年間同じクラスになってしまった。そいつはいつでも、同じ目で俺に言葉をかけていた。

俺が籠った殻の、小さな隙間から覗かせるその瞳は、確かに俺を写していた。


きっと俺は、いつしかそんな彼に…




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