『好きです』
中学時代、俺はクラスメイトの一人にそう伝えた。一番仲の良い"友達"だった。
一言、たったその一言で、"友達"という関係が壊された。
『ホモだってよ』
『きしょ。近づくなよ』
『マジかよ、あいつホモだったのかよ。ないわー』
『なんか怖くない?』
『ヤバッ、目ぇ合った。襲われる襲われる』
自分の正直な気持ちを伝えた。でも、それは俺の勝手な自己満足だった。
『ごめん』
その言葉は予想できていた。
でも、
『さすがの克彦でも、気持ち悪いわ〜。男にコクられるとかマジやめてほしい』
そう笑う彼を見た。振られてもいつも通りに戻ると思っていた。でも、よく考えれば分かることだ。そんなことあり得ない。
『マジショックだわ。ずっとそういう目で見られてたとか』
俺は友達も、自分自身をも、深く傷つけた。
そして、
何もかも失った。
大切なものを全て。今まで必死になって築いてきたものが、俺のたった一回の愚かな行動で、全て崩れさった。
本当に好きだった。
彼はもちろん、俺の周りにいてくれたみんなも。
かけがえのない物だった。
だから、
前 - 次