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保護されました



一面血の海、その中にたった一人だけヒトの形を保ったままの子供が転がっていた。すぐ近くにある既に肉塊と化したモノはこの子の両親だろう。あと本来ここへ派遣されていた術師の……。

「どういうことかな」

一級呪霊が散々荒らした凄惨な現場なんだけどな。
抱えてみればちゃんと呼吸もあるし、泣いた痕はあっても怪我をした様子はない。僕がくる前に闘った術師がこの子だけ護ったとか? いやそんな都合の良い術式もったやつここに派遣されてないはずだ。

「困ったねぇ」





「なに、隠し子?」
「違うに決まってんでしょ、被害者の生き残りだよ」

とりあえず高専へ運び念のために外傷等がないか硝子へ確認を依頼すればこの言われよう。

「怪我は無さそうだけど、その現場でこれは奇跡的過ぎない?」
「そうなんだよね。両親や術師はかなり酷い状況だったのにこの子だけ無傷。何かありそうだし暫くは様子見するつもりなんだけど、硝子預かってくんない?」
「無理。一日とかならまだしも暫くって期間未定ってことでしょ、私子育てとか柄じゃないし」
「だよね〜。じゃあやっぱり部屋与えて交代制かな」





「と言うことで!今日から新しい仲間が増えます!はい、自己紹介」
「……」
「あ、自己紹介って分かる?」
「おい、なんの茶番だよ」

眼前でぽかんとする僕の可愛い生徒四人。まあそりゃそうか、まさか現れたのが片手分も生きてないような子供じゃあね。

「さとる、この人たちだぁれ?」
「ん? 僕の生徒だよ。これからここにいる皆が面倒見てくれるから挨拶しよっか」

そう言ってだいぶ低い位置にある小さな頭を軽く撫でればコクッと頷く。
幸か不幸かあの時の記憶はすっぽりと抜け落ちていた。あまりのショックでそうなったのか、生き残ったことと何か関係があるのかも分からないが、そのおかげで子供らしい愛らしさや無邪気さはさほど抜けていない。

「こころだよ、なかよくしてね」

そう言った表情も声音も暗くはない。それでもその小さな手は見なくても分かるほどに僕の服をきつく握りしめていた。