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通学A



バス停より数メートル手前を歩いていたら先にバスが到着してしまった。降りる乗客を待つ時間を除いてもこのままでは間に合わない。


「研磨ゲーム中断して!バス行っちゃう」


手に持ったゲームに夢中になっている研磨の腕を引くと「セーブポイントまだなんだけど」と不服の言葉が聞こえたけど今は無視だ。
なんとかバスに間に合って一息つくと、この時間にしては思った以上に空いていて席が一つだけ空いていた。


「研磨座っていいよ」
「いい。名前が座って」
「でもゲームしながら立ってられると危ないからヒヤヒヤするんだもん」
「セーブポイント来たらやめるから大丈夫」
「そのポイントいつ来るの?」
「…そのうち」


言いながら研磨に背中を押されて立った研磨と向かい合う様に席に着かされた。いつもなんだかんだ濁しつつ女の子扱いしてくれる研磨だけど、私は年上だし頼って欲しいのに。


「あら、あなた」


着席した隣には昨日バスを下車する時に出会ったお婆ちゃんが座っていた。


「あ!おはようございます」
「おはよう。今日は…弟くんと一緒かい?」


今までの会話を聞いていたのか、研磨を見ながらそう言ってまたころころと可愛い笑顔を向けてくる。


「いや、あの」
「お姉ちゃんを大切にしてあげていい子だねぇ。これ良かったら一緒に食べなさいね」
「…ありがとう、ございます」


お婆ちゃんはキョトンとする研磨にいくつか飴を渡して「仲良くね」と言い残し、次のバス停で降りて行った。
お婆ちゃんの座っていた場所に座った研磨は掌の飴を見て、それを半分私に差し出す。


「知り合いなの?」
「昨日ちょっとね」
「ふーん」
「なんか一気に弟と彼氏出来ちゃった気分だな」
「!、何の話?」
「研磨とクロの話」
「…クロが彼氏なの?」
「そう見えるんだってさ。あ、降りるよ研磨」


いつの間にか目的地に到着したようで席から立ち上がると、煮え切らない表情で研磨も立ち上がる。下車して学校へ向けて歩き出すと隣の研磨は俯き加減で眉間に皺を寄せていた。


「どうかした?」
「なんでもない」
「?」


いつの間に食べたのか、さっきお婆ちゃんに貰った飴を口の中でガリガリと噛み砕きながら研磨は呟いた。



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放課後、クロからのメール

【今日の朝研磨と一緒に来たよな、何かあったか?】
【別に何もないよ】
【俺にのみトスを上げてくれないんだが…】
【反抗期じゃない?】
【マジか!】