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がぉー!




−東京駅構内−


「ったく、研磨どこ行った」
「トイレじゃねーの」
「はぁ。俺行ってくるか」
「どこにだよ?」
「土産売り場。悪い、研磨戻ったら捕まえといて」


そう言い残し土産屋へと足を向ける黒尾の背中を見ていると、殆ど時間を空けず研磨が戻ってきた。


「あれ、クロは?」
「お、戻ったな。あそこ」


指差す少し先には売り場のお姉さんと喋りながらショーケースを見る黒尾の姿が見える。それを見た研磨はスマホを取り出すと短文だったのか凄い速さでメールを打ちった。相手は黒尾だったのだろう、それまでショーケースを見ていた黒尾がポケットから携帯を取り出し、それを確認したのかこっちに振り返った。
すると隣の研磨は急に両手を顔の横で構え、形容するならまさしく“ガォーッ”と言ったポーズをとっている。それを見た黒尾はコクリと頷きレジを済ませ始めた。


「黒尾になんて送ったんだ?そして今の何」
「こっち見て、って。で“みぃつけた” じゃなくて“がぉー”の方って意味」
「あぁ、そういうこと」
「今日はそっちが良いって名前からLINE来てたから」


研磨のメッセージアプリのトーク欄には自撮りしたのか先程の研磨と同じポーズをとった苗字の写メが小さく表示されていた。



·



「キャラメル味4個入り確保」


袋片手に戻ってきた黒尾と「うん」と返す研磨を見て、「ポーズじゃなくてメールで言えばいいだろ」と言うと、


「それもそうか」
「そうだね」


と、ごく普通のことに漸く気付いた二人が納得の表情を見せた。後で聞けばどうやら苗字が普段からさっきみたいに表現しているらしく、三人の中ではあの表現で通っているそうだ。まあどうでもいい話なんだけど、この二人はとことん苗字に振り回されてるよな。見てて微笑ましいけどさ。