小説 | ナノ
*『変わらぬ想い』の続きです
「告白中、失礼するよ」
「……」
「そう睨まなくたっていいじゃないか」
私も会いたくなったんだよ。
そう言えばリヴァイは何も言わないまま、また視線を前に戻した。
ほんの少しだけ傷んだ墓碑の前には、力いっぱいに花開く、ローダンセの花束。
「ねぇリヴァイ。つかぬ事を聞くけどさ、」
「何だ」
「死にたいと思ったことは?」
あの世とやらに行けば、あなたも直接伝えられなかったままの言葉を言えるだろうに。
「ない」
「…っはは」
けれどリヴァイはただ真っ直ぐと刻まれた文字を見つめながら、はっきりと言い切った。
「そう、あいつと、約束したからな」
そして、小さく、そう言った。
「そうか。じゃあ、死ねないね」
「…あぁ」
それはなんて優しくて、酷な約束なんだろうね。
そう呟けば、リヴァイはまた小さく、あぁとだけ答えた。
きっと彼は約束を守り続け、そして届けられない言葉を花にのせて誓い続けるんだろう。
彼はほんとは死にたいんじゃないか。
生き生きと咲き誇る花を見て、そんなことをぼんやり思った。
ローダンセ
(それは酷く美しい二人のはなし)
clap?
(2012/7/26)
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