小説 | ナノ


「…ハンジさん」
「何、エレン?」
「兵長、もしかしてこれから恋人に会いに行くんですかね?」


そうエレンがこそっと尋ねてきた。その視線の先、窓の外には、何処かへ行こうとしているリヴァイの姿。
その手には、綺麗なピンクの花束が。



「あぁ、」
「最近の兵長、ぼーっとしてること多いですし」



エレンは意外とばかりに、少し声音を弾ませて。



ああ、また、そんな季節がやって来たのか。



リヴァイの持つ花束を見て、ぼんやり思った。




「すごく綺麗な花束ですよね」
「…そうだね」
「ハンジさんは兵長のお相手、知ってるんですか?」
「知ってるよ。私も大好きな友達、だった」
「だった?」
「いや、」



花のような笑顔を浮かべる素敵な子、なんだよ。




そう言えばエレンは「僕もいつかお会いしたいです」と笑ってみせた。

その笑顔がどこかあの子と重なって、私も彼女に会いたい、そう出かかった言葉は音にならず飲み込んだ。





ちらりと窓の外をみれば、もうリヴァイの姿は見えなかった。
「エレン」
「はい?」
「あの花、ローダンセって言うんだよ」




リヴァイって、実は一途な奴なんだ。

そう言えば、エレンはまた、何か素敵ですね、と笑った。





変わらぬ想い
彼の、もう何度目の誓いになるんだろうか







clap?







(2012/7/17)