ぼくのストーブ



ぼくはどうやら、何かと古いものに固執してしまう性分らしい

例えば初めて自分の金で買ったギター、高校時代のジャージ、ぼろぼろになった靴なんかがそうだ

そういや冷蔵庫も買い替えてない気がする

いつからか使いもしないのにくっつけてある丸い磁石も込みでだ(きっと日焼けして跡になっていることだろう)

そして極めつけは実家から引っ張ってきたストーブ、多分こいつが一番古い
子供の頃からの付き合いだった

こいつは形が古いってのもあるがとにかく勝手が悪く、スイッチがぶっ壊れているものだから、使用する際はマッチかライターに頼るしかない

上手く火を付けても、なかなかに気まぐれなので途中で消えたり焦げ臭かったりする

「いいかげん新しいの買えよ、せめてスイッチ式のやつ」

金持ってない訳じゃないだろ、と遊びに来ていた友人が言った

わかってないなと思った
正直に伝えると不機嫌そうな顔をされて、瞬間自分のよくわからない部分に火がついた

ぼくは今に見ていろとか呟きながら、ストーブの上に目が粗めの金網をのせる

さらに餅ものせる

友人は唖然としてぼくと一連の流れを見ていた

参ったか
餅焼いちゃうんだぜ

「醤油でいいか」

「…海苔も欲しい」

「了解」

爽やかに言ってみたが、生憎今日の相方は焦げ臭かった

今日は不調だと伝えた時の友人のよくわからない顔を見て、いつか必ずリベンジをすると誓った



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