「…遅くない?」
「うぅ、ごめんな…どのメロンパンも美味しそうだったから悩んじゃって」
「どのパンもじゃなくて!?メロンパンなんかどれも同じだよ!」
「同じじゃない!一つ一つ違った個性があってだな…」
「あっそうだ、華火さん、小村くんに用があったんじゃないの?」

小村さんの言葉を遮って照山さんが尋ねてきたが、完全にタイミングを逃したぼくは「忘れてしまいました」と誤魔化すしかなかった。

「そうなの?」
「はい、すみません」
「まあそういうのって良くあるよね、ど忘れ?みたいな」

その後一緒に帰ろうと誘われたが、図書室に行くと言って別れた。とてもそんな気分になれなかったのだ。

…どうしよう、少し首を突っ込みすぎたかもしれない。
大変なことに気づいてしまった。

小村さんは、照山さんが友達以上に好きなんだ。そしてそれを気づかれないように隠している。
きっと本人が言っていたように「大事だから」という理由で。

お陰で照山さんはそんな事は全く気にしていない様子だった。あれほど深い意味で大事にされていることだって知らないだろう。

でも小村さんはどうしたいのだろうか。
何を思って、あんなことを続けているのだろう。

宣言通り足を運んだ図書室で、悶々と考えながら窓の外を眺めていると、グラウンドから風太が手を振っているのが見えた。
それを暫く見ていると、急に泣きたいような気持ちになった。


##おわり!



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