「ここが小村くんの家か…」

電話越しに聞いただけでは情報が少なくて(しかも小村君の説明だし)迷ってしまったが、通りすがりの長い黒髪の郵便配達員さんに道を教えてもらい、なんとかたどり着くことができた。
なにそのぬいぐるみ!!でかっ!!クロノスもビックリだな…ぶっはっはっはっはっは!!…とかなんとかその人に笑われてしまったけど、うん、まあ、終わり良ければすべて良しっていうし。忘れよう。

「それにしても綺麗な家だな…」

大きな豪邸とかではないし、特別目立っている訳でもないが、何となく小綺麗だ。
庭に色鮮やかな花が植えられている。こういうのはやっぱり、小村君のお姉さんの趣味だったりするんだろうか、と一瞬考えたが、よく見たらトマトやらキュウリやら植わっていたので多分小村君本人だ。休日にここで土いじりしてる姿を想像したら少し和んだ。

「…じゃないや、早く渡さないと…」

メロンパン太郎を抱え直し、僕は玄関先のインターホンを押した。

「はい」
「…え?」

ドアが開き中から出てきたのは、小村君ではなく女の人だった。

「………」
「………ぁ、あの、僕小村君の友達の照山っていいみゃぶっっっ!?」
「お帰りメロンパン太郎ちゃんっ!!」
「へ、な…うわわわわわわっ!?」

いきなりメロンパン太郎ごとむぎゅーっと抱きつかれて、びっくりして固まってしまった。

「もう、寂しかったんだから!!気持ちいいから許すけど!!」
「ひゃああああちがっ違いますっ、それメロンパン太郎じゃなくてぼくだからあぁぁぁ!!助けて小村くうぅぅぅぅんっ!!」

頭をもふもふなでなでされる。駄目だ恥ずかしいっ!!

「て、照山!?姉さん違うよ、姉さんがなでなでしてるの照山だよ!!」
「え?…あっ本当!!ごめんなさいね照山くんっ!!」
「い、いえ」

何故かピンクでフリフリのエプロンをした小村君が救助に来てくれたおかげで何とか助かった。
メロンパン太郎は急いで小村君のお姉さんに返した。

「ほらっ姉さん、ちゃんと照山に挨拶して!!」
「そうね。…突然ごめんなさい、私、葉月の姉の未来です。いつも葉月がお世話になっているみたいで…」
「いや、そんな、こちらこそ……でもないか…あっ、ええと、僕照山です!!」
「ええ、葉月から聞いてるわ。それはもう毎日っていうか毎時間?毎分?」



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