グレイさん語り
2016/10/26


グレイについて。

幽霊ともクリーチャーともつかない何か。無垢な悪霊のような、しかし根本は違うもののようなそんな感じ。実体はあったりなかったり。なでなでされる時はあるけど壁抜けする時はない。自由自在。

小さな廃屋に住んでいる。
ここへ足を踏み入れれば、魔力のない人間でも形容しがたい嫌な匂い、重く淀んだ空気、異様な薄暗さから明らかにまともな場所ではないと悟るだろう(この世界において、魔力を持たない者、失った者、封じられている者に霊や妖精の類は見えない。僅かな魔力しか持たない場合は、気配のみを感じ取る)。
裏口へ繋がる最奥の部屋に古井戸があり、ひときわ禍々しいオーラを放っている。特に近寄ることは憚られるが、グレイはここに居ることが多い様子。裏口から入ると『ぶぁあ〜』とゆるく驚かされる。グレイなりのお出迎え。正面から入った場合は、ワクワクしながら様子を伺っている。こっそりドアを開かなくしたり人形を飛ばしたり、床を這う無数の赤子の幻覚を見せたりといったおもてなしをする。お客さんが来てくれて嬉しい。
大体そこまでで訪れた相手は逃げ出してしまうが、廃屋に留まった場合は姿を見せ、周りをふよふよ浮いたり匂いを嗅いだり、転ばせる、髪を引っ張るといったちょっかいをかけたりする。反応が薄いとご飯と判断してかじる。悲鳴をあげたりめっしたりすればやめてくれる。
グレイは腹を空かせることこそないが、生き物を食べる、魂を吸い取るなどして身体に取り込み、自分の力とすることはある。ので、基本的に訪れた人間を遊び相手とみなしているものの、つまらなければ食べようと試みてくる。力をつけることへの興味が薄く、人間を食べきるのに数日間かかることもあって何としてでも食ってやろうというような意思はないため、腰を抜かしていてもわりと簡単に逃げられる。舐めて廃屋で寝泊まりしたら両足がなくなっているかもしれない…程度。その状態から這って逃げても追いかけてこない。誰かに拘束されて放置された、元々身体が不自由で逃げられないのに置いていかれた、またはだからこそ捨てられた、自分から望んで食われるなど、よっぽどの理由がなければ食い殺されることはない。(逆に言うとこのようなことが過去にあったために、グレイがここまで力をつけている)
ただし、こちらから危害を加えた場合は別。とはいえ物理攻撃は効果がないので、慌てて殴って逆鱗に触れるといった事故はない。あるとしたら、グレイを狩ることを目的にやって来たそれなりに力のある魔導師や霊能力者がズタズタに引き裂かれるくらい(弱ければ遊んでいると思われる。ある意味弱い方が得)。倒そうとしなければ脅威にはならない。空気が読めるなら、こんなになるまで放って置かれている時点で察したほうがいい。
生き物なら生でも死骸でも綺麗に食べるので、人間とまあまあ利害が一致している部分もある様子。フィルはずっと昔からグレイを知っているらしいが、特に手出しはしないようにしている。行く末を見たがっているのかもしれないし、シルヴィーと仲良しだからかもしれない。
レトは一般人が無闇に立ち入らないよう、時々廃屋周辺に弱い結界を張っている。彼の扱いには色々と悩んでいるようだが、とりあえずこの結界にグレイを閉じ込める意図はない(本気で封印するならそれなりの数の生贄が必要になる上、そこまでしても結局は臭い物に蓋であり、現状強い悪意を持たないグレイを不必要に歪める危険性がある)。レト曰く「たまに遊んであげるのが一番良いような気がする」。

子供や赤子、怪我をしているもの、欠損のあるもの、死の匂いがするものに懐きやすい。手軽な食料だと思っているのかもしれないし、友達だと思っているのかもしれない。
また、知力にムラがある。ある日は「あー」「うー」といった言葉しか話さなかったのに、翌日は敬語でスムーズに話しかけてきたり、4、5歳程度の幼い子供のようだったり。さっきまで赤子のようだったのが、急に筋道立てて話し出す様子はなかなかにホラー。

どこからか出してきたブラウスやマントを身につけていることが多いが、裸の時もある。手足は大きく欠損しており、切断面はない。生殖器も存在していないため性別は不明であるが、痩せて未成熟な胴体の様子から子供であることが考えられる。




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