どうした、鬼畜ヤロー


 目が覚めたら、そこは病院だった。
「大丈夫か? 俺のところに来る間に悪魔に襲われたんだろ?」
 燐が私の顔を覗き込む。私は笑おうとしたが、口の中が切れていて酷く痛んだ。手足は包帯でぐるぐる巻きだ。骨折しているらしい。
「あぁ、悪魔にな」
 痛みに耐えて無理矢理口を動かせば、口の中が血の味がした。
 間違ってはいない。奴は悪魔だ。
 私の力は中途半端に強い。無理矢理逃れようとしたのが悪かったらしい。私は奴が力の加減ができる余裕をなくすぐらいに暴れた。奴が抑え込もうとした時に、つい力を入れ過ぎてしまったらしい。
 骨はあっさりと折れてしまった。
「でも、これで祓魔師になれるな。回復したら、理事長に頼めよ」
 燐は明るく笑った。
 正直心が折れかけていたが、その笑顔を見て私は祓魔師になろうという思いを再確認した。


 大怪我をさせようという気はさらさらなかった。全てが終わったあと、変な風に手足が曲がり、動かなくなった体を見て、やり過ぎたとは思ったが、罪悪感なるものは湧かなかった。
 悪魔には罪悪感はない。しかし、面倒だとは思っていた。
 泣き喚いて諦めて終わると思っていたが、彼女は抵抗した。彼女は祓魔師になることを諦めていないという可能性が頭を過る。
 扉を開けると、包帯だらけ彼女がいた。花や菓子が置いてあるということは誰かが見舞いに来たのだろう。
 彼女は私の気配に気づいたのか、喉で笑う声がした。
「どうした、鬼畜ヤロー。漸く祓魔塾入学許可を出しに来たか?」
 ああ、本当に面倒なことになりましたね。
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