サイクロトロン運動
付き合って、別れてを繰り返していると、まぁ付き合うってそういうもんかな、と思うようになる。オーバ、五年って、絶対おかしいだろ。
それよりも、おかしいのが名前だ。まぁ、モテるとは思わないが、彼氏を作ろうと思えば作れるだろう。
「このニートオタクめ!! さっさと起き上がれ、このクソ野郎!!」
前言撤回。こいつ、絶対彼氏できねぇ。
「ってか、使用済みコンドームぐらい自分で処理しやがれ! これを見つけた時の絶望感!!」
ゴム手袋と黒いポリ袋を持って……自分で見つけといて、何で俺が怒られねぇといけないんだよ。家主の許可なくスペアキー作って勝手に入ってきて、はっきり言って不法侵入だろう。
「ウゼェ」
本音を呟くと、それも確り聞こえていたらしい。ずんずん歩いてきて、怒鳴り散らす。
「ジム行ったときはちゃんとしてるの? ジムリーダーはナギサシティの顔なんだからね」
俺だって、ジムリーダーの時はちゃんとしてるぜ。知ってろだろ、名前。
「ナギサシティの顔をニート呼ばわりしているのは誰だ?」
「実際ニートでしょ」
休日ゴロゴロしていただけですぐにニート扱いか。こいつ、ニートの意味分かってんのか?
「オーバは?」
オーバは基本的に名前の味方しやがるから、いたところでどうにもならないが、いないよりは遥かにマシだ。
「もうすぐ来る。デンジと違って忙しいからね」
「お前は暇だからな」
本当に暇だよな、と思う。彼氏でもない男のところに来て、世話焼いて帰ってくんだから。お前とオーバほど働いてくれる奴は一人もいなかったぜ。
「私はわざわざ時間を作ってるんだって!! このだらしない幼馴染のために!!」
名前が声を荒らげている。正直、名前は俺の部屋で世話焼いているから彼氏できないんじゃないかと思う。どれだけ恋愛に興味持てねぇんだよ。
まぁ、でも構わない。悪い気はしない。