プラズマ振動


 俺は今、幼馴染の家で幼馴染と共に掃除をしている。
「どうにかしなよ! 何この書類の山!! このペットボトルの中身いつの? ドロドロしているよ!!」
「五月蝿えな」
 俺と一緒にデンジの家の掃除をしていた名前がデンジに怒鳴りつける。掃除を始めて三時間、足の踏み場もないゴミだらけの部屋は一向に綺麗にならない。俺と名前は懸命に掃除をするのだが、デンジはソファーに横になって雑誌を読んでいる。
 苛々する気持ちは分かるが、デンジに怒鳴りつけたら解決するどころか、さらに苛々が悪化するのをそろそろ学習したら良いのになぁ。
「こんなのだから、彼女に振られるんだよ」
「人生で一度も彼氏持ったことない奴に言われて堪るか」
 そうそう、俺は今年で五年目の彼女がいて、デンジは一カ月ごとぐらいに彼女を変えるが、一カ月以上女を切らすことはない。しかし、名前には浮いた話題一つない。
 名前も気にしているだろうに、わざわざ言わなくても良いのにな、と思うが、まぁデンジに過度な期待をしてはいけない。
 何せ、一人暮らしさえできない奴だ。
 そろそろだな、と思って名前の方を見ると、名前が徐に立ち上がったところだった。
「一回殴らせろ」
 名前が本気でデンジに殴りかかろうとしていた。
「おい、名前」
 言葉で止まらないことは分かっているため、俺も立ちあがり、名前の腕を掴む。気が短い名前が本気で殴らないとは言い切れないし、馬鹿なデンジが本気でやり返さないと限らない。前科も何度も見てきたからな。幼馴染すら信頼できないこの悲しさを分かっていただけるだろうか。
「デンジも片付けして貰っているんだから、たまには感謝してやれよ」
「こいつが勝手にしているだけだろ」
 素直じゃないなぁ、デンジ。本当は片付けして貰えて嬉しいんだろ。
「オーバはデンジに甘過ぎる!!」
 いやいや、デンジに甘いのはお前もだろ、名前。正直、俺もお前も同類だ。とりあえず、この空間から名前を脱出させないと、と思い、時計を見ると丁度お昼だった。
「そろそろお昼にしようぜ。名前は昼ご飯作ってきてくれよ。俺はとりあえず食えるスペースを確保しとくから」
 はいはい、と言いながら名前は台所の方へ歩いて行った。
「女って何であんなにうざいんだ?」
 名前の後ろ姿を見ながら、デンジが呟く。お前、まさか素で言っていないか。
「女からしたらお前がうざいんだろ!!」
 というか、男からしてみても相当うざいけどな。
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