此処は王国、最後の砦

天女様と王様の段


 私は教科はい組と、実技はろ組と受けている。つまり、実技はい組と一緒にはやっていない。だから、ろ組との実技を終え、部屋に戻ってくると諏訪と尾浜が私の部屋でボーロを食べているのは時間的には何ら不自然なことではない。
「あっ、お帰り」
 実習大変だったね、と労うような笑顔の諏訪にただいま、と微笑むと、私はもう片方を睨みつけた。ボーロを頬張っている尾浜は、ん、と真顔でこちらを見て首を傾げた。
「俺は貰えるものは貰う主義だからね」
「ここ私の部屋。出てけよい組」
 ボーロを頬張り口を膨らせませ、もごもごとそう言った奴に手裏剣を投げつけたとしても、私が責められる理由はないはずだ。


 しかし、結局三人でボーロを囲むことになった。
「出て行けよ、い組」
 ボーロと大福を交互にもしゃもしゃと頬張りながら、団子を頬張っている尾浜に言う。
「さっきからそれしか言っていないよな」
 言われていても居座るお前に問題があると思ったが、大福を飲みこんでいたら、言うタイミングを逃してしまった。
「あいつら実習を良いことに、病み上がりなのに思いっきり投げやがって。とりあえず、出て行け、い組。私の取り分減る」
 私は饅頭を頬張りながら、尾浜を腕でどついた。
「やっぱり、それが目的……って全部食べる気かよ」
 私が諏訪の出してくれた餅を全部自分の紙の上に移動させると、尾浜が不満げに文句を言った。当然、と言いながら私は饅頭を口の中に詰め込んだ。
「しかし、これくれた人も不憫だよなぁ。今までも、ほとんど五十嵐が食べていたんだろ」
 尾浜はそう言いつつも、諏訪が出した煎餅をバリバリと容赦なく食べる。
「まぁ、でも、この饅頭は私に食べられようと諏訪に食べられようとどっちでも良かったと思うよ」
 まぁ、饅頭に気持ちがあるかどうかは分からないが。そう思いながら、饅頭を口の中に詰め込んだ。
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