い組とろ組

女装少年の段


 私と不破は立花先輩と潮江先輩と戦っていた。その際に見つけた正体の掴めない忍者。いつの間にか勘右衛門と兵助と八左ヱ門、三人と戦っていた中在家先輩と七松先輩も合流した。
 どこの城の忍者であるかと分からなかったが、確実にこちら側に殺意を持っていた。彼らを撒いた後、見通しの良い開けた場所に集まった。
「合同演習は中止だ」
「五年生、六年生で協力してこの忍びの正体を探る。良いな」
 潮江先輩と立花先輩は、すぐにそう決断した。
「ところで、ここにいないのは誰だ?」
「伊作と留三郎だな」
 真剣な潮江先輩に七松先輩が明るく返した。
「アホのは組か」
 潮江先輩と立花先輩が顔を見合わせて溜息を吐いた。すると、不破が手を挙げながら言った。
「五年は五十嵐がいません」
「アホのは組三人か」
 潮江先輩と立花先輩はさらに深い溜息を吐いた。
「三人一緒にいる可能性が高いな。俺たちはなるべく五十嵐を避け、は組の二人に狙うようにしてもらっていたからな」
 敬助は立花先輩と潮江先輩を酷く嫌っている。この六年生に何をやっても許される合同演習では、殺意むき出しで戦うことは間違いない。
 落ちこぼれとはいえ敬助は厄介だ。敬助は執念深い。姿ではなく、心まで女のようなのだ。まるでくの一のような戦法を敬助は何の躊躇いもなくとる。
「絶対何か起こってるな」
 中在家先輩がぼそぼそと言った。
 落ちこぼれ不運の善法寺伊作先輩、巻き込まれ不運の食満留三郎先輩、落ちこぼれマイペースの五十嵐敬助。食満先輩がいくらフォローに回っても、何も起こらないはずがない。
「とりあえず、長次は三人を探してくれ」
「俺と文次郎と七松、尾浜と不々知は追う。他は自由にしろ」
 潮江先輩と立花先輩は次々と指示を出す。
「い組以外で探しに行くように、と?」
 私がにやりと笑って問うと、立花先輩がやや呆れ顔で言った。
「い組が探しに行くと、厄介なことになるだろう」
 その厄介なことが容易に予想できた。
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