仲間はずれの二人組

天女様と王様の段


 諏訪司名乗る少女が忍術学園の食堂に落ちてきたことから、全ては始まった。不思議な装束を着た同じぐらいの年の少女。まるで天女様のように現れた彼女は、そのまま天女様のように忍術学園の人々を魅了していった。
 別にそれは構わない。
「というか、何故尾浜なの?」
「知らないよ」
 私の部屋にいるのは、憎きい組の尾浜勘右衛門。何が気に入らないのか。それは私とこいつだけが天女様に魅了されていないところだ。おかげで、食事はこいつと二人で向かい合ってとるはめになるし、今もこうして意味もなく尾浜が部屋を訪ねてくる。
 はっきり言う。非常に不快だ。
「怪しいと思うだろ」
 怪しい怪しくないの二択なら、答えは怪しい、である。真剣に詰め寄る尾浜に溜息を吐きながら、私は答えた。
「疑わしきは罰せずだよ」
 そう言いながら、私は最近購入したまっさらな巻物を取り出す。今日の記録をつけなくてはいけない。
「五十嵐、何それ?」
「潮江先輩と立花先輩が天女様の方を向いた回数を毎日記録しているんだよね」
 尾浜が項垂れる。
「もしさぁ、天女様が間者で、善法寺先輩や食満先輩が……」
「間者ではないと思う」
 私は巻物に筆で数を記しながら、そう答えた。間者にしては現れ方が派手すぎる。装束も見たことのないようなものだ。
「私は妖の類じゃないかなぁ、と思っている」
 そして、何よりも忍術学園の人々を魅了したということだ。そんな化け物染みたことを人間ができるはずがない。
「今は様子を見るしかないよ」
 巻物を乾かしながら、私は不満げな顔をした尾浜に言った。
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