は組の参謀

いろは対抗戦の段


 勝てば食堂タダ券。委員会対抗戦ならまだしも、組別対抗戦で勝てるとは思えなかった。頭数はいる。しかし、ほとんどが一年は組だ。別に一年は組だから勝てないとは思っていない。
 ただ、上級生が四人、しかもそのうちの人が斉藤先輩であるということは痛い。作戦会議という名のただの顔合わせの後、一年長屋に帰る。食堂タダ券は諦めないといけない、と思いながら溜息を吐いた。
「きり丸、元気ないね」
 後ろから声がかかった。振り返ると五十嵐先輩がいた。
「勝てば食堂タダ券だけど、は組って不利じゃないですか。上級生少ないですし」
「私、意外といけると思うけどなぁ」
 五十嵐先輩はにやりと人の悪そうな笑みを浮かべた。五十嵐先輩は参謀だが、ほとんど作戦は立てていないようなものだ。俺たちや斉藤先輩が帰った後に立てるつもりなのだろうか。
「きり丸、財政状態は厳しいの?」
「そうですねー、学費だけでも大変ですので」
 苦笑いをすると、頭の上に手を乗せられた。
「じゃあ、頑張ろう、きり丸。は組はね、一年生を足手纏いなんて思っていない。一年生だって戦力なんだから」
 返事をする間もなく、五十嵐先輩は部屋に戻っていった。
「善法寺先輩、風呂行きますか」
「そうだね、留三郎も行く?」
 ああ、という食満先輩の低い声が聞こえた。振り返ると、三人は服を持って歩いていた。
 五十嵐先輩の髪の豪奢な藤色の髪飾りが揺れるのが見えた。
「先輩、風呂入る前に厠行っていいですか?」
「私もついでに行っておこうかな」
「俺も行く」
 そんか会話が繰り広げられていることも知らずに、俺は乱太郎としんべヱと部屋に戻った。
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