五年生いろは三人組

委員会対抗戦の段


 生物委員と火薬委員が揃った時には、既に日が暮れかけていた。日が暮れれば、少なくとも保健委員会と用具委員会は動かないだろう。保健委員会も用具委員会も、必要があれば夜中に活動するが、今回は自粛するだろう。夜の活動になれていない下級生の寝不足が翌日の活動に与える影響が大きいことは分かっているだろう。
「提案がある。生物委員会と火薬委員会で組まないか」
 竹谷はそう切り出してきた。おそらく、私たちを助けたのもそれが目的だろう。
「予算は半々ということで」
 今回は、委員会に一つずつ渡される巻物の争奪戦だ。何れかの委員会の巻物を持って学園に戻った時、最も多くの巻物を持っていた委員会が勝ちだ。しかし、同じ数の巻物を持っている委員会があれば、予算は均等に配分されることになっている。
 私は久々知の方を見た。悪い話ではないが、それを判断するのは久々知だ。久々知はいつもの無表情で私を見た。
 一体何を考えているのかまるで分らない。
「おい、久々知、お前に訊いているんだよ。火薬委員長だろ、お前」
 竹谷が呆れたように久々知に言った。
「委員長の意見に従うよ。私はただの雇われだからさ」
 そけでも久々知は私の方を見てきたため、私はそう言った。久々知は私の言葉を聞くと、竹谷の方を向いた。
「組む」
 久々知の言葉で、上ノ島と今福が笑い合った。因みに夢前、二郭、佐武の三人は既に一緒に遊んでいる。
「委員長五年だけど、舐めてるんじゃないぞってことだ」
 竹谷の言葉に、私はにやりと口角を上げて笑った。竹谷が右手で私の腕を掴み、そして左手で久々知の腕を掴んだ。
「頑張ろう」
 竹谷はにやっと笑って私と久々知を交互に見た。久々知の手を私の手の上に重ね、その上に竹谷が手を載せる。
 三人で顔を見合わせる。私の顔を見た久々知の表情が少しだけ緩んだ気がした。
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