肌寒い日には、(きみとキスを、)
……………………………………………

今日は朝から雨が降っていたが、小降りだったため、お客さんは案外いた。気温は何時もよりも低くかった。

『ご注文はお決まりでしょうか?』 カリナは営業スマイルで女性客に訪ねた。
「今日は寒いから私はホットコーヒーとイチゴタルトを。」
「私もホットコーヒーで!後は……ガトーショコラで。」
『かしこ参りました。 ホットコーヒー2つとガトーショコラ、イチゴタルトを1つずつですね。 暫くお待ち下さい。』 カリナは軽く会釈をして調理場に戻った。

『ふぅ……。 少し怠いなぁ……。 でも頑張るぞ!!』 怠い身体に打ち勝つように気合いを入れ直した。

※※※

午後からは雨が激しくなり出したため店を早めに閉めた。

「すっげぇ雨だなぁ……。」 ポッドはため息を吐きながら外を眺めた。
「本当ですね……。 明日は晴れると良いですね……。」 コーンはホールを掃除しながら言った。
「あぁあ……。何かかったるいなぁ……。」 欠伸をしているポッドの後頭部にボサッと何かが乗った。
「早く、掃除を手伝って下さい…。」 ポッドの後頭部に乗ったのは、コーンの使っているモップだった。
「……。おぃ!!きたねぇだろ!?? ……!?うぅ……。」 反抗しようとしたらコーンにモップを投げられた。
「つべこべ言わず、さっとして下さい。」 コーンは勝ち誇った顔でポッドをみて、自分はテーブル拭きをしだした。

一方、調理場ではデントが皿洗いしていて、カリナは洗った食器類を拭いていた。
「ポッドとコーンの会話は相変わらず面白いなぁ。」 笑いながらデントは話したが、カリナが何時もと違う様子が気になった。
「……。やっぱり、すごい雨だなぁ……。 今日はゆっくりと休もうか……。」デントは笑いながらカリナに言った。カリナは手を止めてデントの方を向いた。
『……。デントぉ……。』
「ん?……どうしたんだい?」 カリナの声を聞いてカリナに向き合った。
『何か、さっきから頭が痛くて、それに寒気が……。』 少し、青白く身体を微かに震わせているカリナを見て、デントはカリナの額に手を当てた。
「っ!? 熱があるじゃないか! 何時から何だい!?」 カリナの肩を掴んだ。
『なんかぁ…朝から……。』カリナは答えている最中だったが、そのまましゃがみ込んだ。
「カリナ!? コーン、ポッド、ちょっと来てくれ!!」 デントの尋常の無い大声が聞こえたため、慌てて調理場にポッドたちがやって来た。
「どうしたのですか? カリナ!?」 コーンもポッドの驚きを隠せなかった。
「って!! カリナは大丈夫なのかよ?」 ポッドは慌ててデントの近くに駆け寄った。
「大丈夫って言いたいけど・・・。何とも言えないなぁ・・・。 とにかく、カリナを部屋に運ぶから、後は二人に頼んでもいいかい?」 
「勿論です。 後はこのコーンに任せて下さい。」
「当たり前だろ!! 早く寝かせたれよ! 後で何か作って持って行くから。」
「有難う。二人とも。」 デントはカリナを抱えて部屋の連れて行った。


※※※


数時間たったがカリナはまだつらそうな表情だった。体温も中々、下がらない状況だった。
――――コンコン

「デント。入りますよ?」 コーンがお粥を持って訪れた。
「有難う。」 デントはコーンからお粥を受け取ってカリナの近くに戻った。
「・・・。 まだ、熱は下がりませんか?」 
「うん。 疲れがたまっていたのかな?」 少し悔しい表情で言った。
「多分、言えなかったのでしょう・・・。 彼女は自分を厳しい人なので・・・。 起きたら食べさて下さいよ。」
それだけ言ってコーンは静かに出て行った。

_____数時間後____
『・・・。んぅ? ここは?』 カリナは目を擦りながら重たい身体を起こした。
「カリナ? 大丈夫かい?」 デントはいつもと同じ笑みでカリナに尋ねた。
『・・・。 うん。大丈夫だけど・・・。喉が少し痛い・・・。』 カリナは少し火照ってる身体をデントに預けた。

「まだ、熱はあるなぁ・・・。 少しでもいいから、お粥を食べようか? 冷めてしまったけど温めた方が良いかい?」 デントの問いかけにカリナは首を横に振った。
「どうぞ。」 デントはスプーンでお粥を掬ってカリナの口許に差し出した。カリナは少し強張ったが大人しく口を開けた。

半分だけ残したがお粥を食べ終わったので薬を渡されて、水と一緒に飲んだ。
『うぅ・・・。苦い・・・。』 少し顔をしかめてデントにコップを渡した。
「苦くても我慢だよ。 偉いねぇ。きちんと飲んで。」 デントはカリナの頭を優しく撫でた。そして、カリナの身体を支えながらゆっくりとベッドに寝かせた。

「さてと・・・。 後は寝るだけかぁ・・・。 寒気はもう大丈夫?」
『少しだけ寒い・・・。』 デントの問いかけにカリナは少しだけ身体を震わせた。
「そっか・・・。 寒い日に効くのがあるけど体験する?」 何かを閃いたかのようにデントはカリナに聞いた。
カリナは少し考えてから、
『・・・。 変な事はダメだよ? デントにも風邪がうつっちゃうから・・・。』 口許を隠すように布団をかけている状態でデントに言った。
「了解。 じゃぁ、目を瞑って?」
『う、うん・・・。』 カリナはデントの指示に従ってゆっくりと目を瞑った。
その時、ベッドが少し軋む音がし、瞼の上に温かいのが降ってきた。
「目、開けてもいいよ」 カリナはゆっくりと目を開け、今の状況に疑問を持った。
『・・・。デント・・・。重いよ・・・。それと何をしたの?』 その状況とは、デントがカリナにかぶさっている状態だった。
「ん・・・。寒いって言ったから抱きついているのと後は、キスをしたよ。」 
『・・・。さらっと恥ずかしい事を言わないで下さい・・・。』 熱のせいもあるので顔を真っ赤にしながら言った。
「でも、寒い時には良いんだよ・・・。 もう一回、してもいいかな?照れ屋さん。」 少し笑みを零しながらカリナに言った。
『・・・。口許じゃなかったら良いよ・・・。』 少し目を反らしながらデントに答えた。
「了解。」 ゆっくりとカリナの頬に唇を落とした。

この後に、予想外の事が起こるとはまだ誰も知らなかった・・・。





To be continued



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