夢見心地

『眠たいなぁ・・・。デント、何時まで待たせるつもりだろう・・・。』 カリナはイライラが積もりつつ、デントの部屋のベッドに座って待っていた。
『もう、10時過ぎかぁ・・・。 早く戻ってこないかなぁ・・・。』 座っている体制からゴロンとデントのベッドに寝ころがった。

【・・・。本当に眠たくなってきたよぉ・・・。】 カリナは重たくなった瞼と闘いつつも、負けてしまいいつの間にか寝てしまった。


※※※

カリナとデントは広い草原にいた。 カリナはシロツメクサを集めて木の下で冠を作っていた。デントはカリナの近くで本を読みながらカリナの行動を見ていた。とても静かな草原の中で二人きりでいた。
そんな静寂な空気の中、
「カリナは本当に花が好きだね。」 デントは優しく微笑みながら言った。
『うん。好きだよ。』 カリナはシロツメクサを編んでいた手を休ませてデントと向かい合ってにっこりと笑った。
「カリナはどんな花が好きなの?」 
『どんな花でも好きだよ。』
「じゃぁ、強いて言うなら何だい?」
『えっ!? 強いて言うなら・・・・・・。』


※※※

―――― ガバッ

カリナはいつの間にか寝ていた自分の体を起き上げてあたりを見回した。
カリナの体にはブランケットが掛けてあったが、周りには誰もいなかった。
『・・・。あれ・・・? 誰か来たのかな?いつの間にか寝ていた・・・。』
カリナは眠たい目を擦りながら今の現状を必死に考えていたらデントが入ってきた。
「カリナ・・・?起きたんだね。」 デントがゆっくりとカリナの方へ足を歩んだ。
『うん・・・。今って何時?』
「えっとねぇ・・・、もう少しで12時を回るよ。」 平然としてデントが答えた。
『・・・。部屋に戻るね。コーンに怒られるといけないし、もう寝ないと仕事に支障が出るから・・・。お休み。』
カリナが部屋から出ようとしたら、
「待って!」 デントはカリナの手首を掴んで自分の胸の中に引っ張った。
『ッ!!?? な、何? デント!!??』 いきなりのデントの行動を読み取ることが出来ないカリナ。
「9,8,7・・・」 ゆっくりとカウントをし始めるデントに対してカリナは何が何だか分からなくなってきた。
『デント!!! だから何をしているんさぁ!!』 中々デントの胸の中から解放をしてくれないから憤りを覚え始めたカリナだったが、なにも出来ずにいた。


「3,2,1・・・。 よし!! カリナ。」 デントは胸に収めたカリナの顔を見た。
『・・・。何ですか?』 カリナは少し不貞腐れながら返事をした。
「ハッピーバースディ。」
『・・・。えっ???』 きょとんとした顔でデントを見つめるカリナ。
「・・・。カリナ・・・。もしかして忘れていたの?」 カリナの表情を見て失笑しながら聞いた。
『・・・。少しだけ・・・。』 白状をするように虫の声でカリナは答えた。

「全く・・・。 まぁ、いっか。 はい、プレゼント。」 デントは呆れつつだが、カリナにプレゼントを渡す時は微笑みながら渡した。
『花束だぁ!! かすみ草と・・・チューリップ? ねぇ、デント?』 沢山のかすみ草に紛れてのチューリップにカリナは疑問が生まれた。
「何だい?」 聞かれることを知っていたかのようにクスクスと笑っている。
『・・・。何でこんなにもチューリップの色がバラバラなのかな・・・?』
花束の中にあるチューリップは赤・黄・紫・緑・桃とあった。
「それはねぇ・・・“花言葉”で揃えました。」 
『“花言葉”? ・・・。もしかして、私の部屋にあった植物の事典を持っていったのってデント?』 確信犯のように答えたデントに聞いた。
「うん♪ だから、今日は僕がチューリップの“花言葉”の説明をしたいなぁ!!」
『・・・。宜しくお願いします。』 カリナはデントの自信たっぷりとした表情を見て、一礼をした。
「えっとねぇ・・・。 赤は“愛の告白”、黄は“正直”、紫は“不滅の愛”、緑は“美しい瞳”、桃は“愛の芽生え”だよ」 得意げにデントはスラスラと言った。
『何で、恥ずかしい言葉もスラスラ言えるのかなぁ・・・。 でも、何で白のチューリップは・・・。あぁ!?』 白のチューリップが無い事に気付いたカリナはデントに聞こうとしたが途中で思い出してやめた。
「・・・。白のチューリップの“花言葉”は?」 にっこりと微笑みながらカリナにデントの顔が迫ってきた。 カリナは恐々と答えた。
『・・・。“新しい恋”や“失恋”の意味・・・。』 
「よく出来ました。」 カリナの頭をデントは優しく撫でた。
『別に“花言葉”何て気にしないで良いのに・・・。』 カリナはため息を吐きながら言った。
「僕が嫌だから今日だけはダメ。 後、もうひとつ。 初めて作ったから自身が無いけど・・・。」 小さい紙袋をカリナに差し出した。
『・・・? 押し花の栞だぁ!! 金木犀シロツメクサ?』 季節的に金木犀の季節で無いので少し疑問に思ってデントの顔を見た。
「金木犀は去年、採って本に挟んでいたんだぁ・・・。 押し花って結構、大変だね・・・。」 少し紅潮させながら答えた。
『有難う・・・。』 カリナはデントを包むような笑顔で言った。
「シロツメクサも金木犀もカリナに似合っているし・・・。」
『えっ!? 何で?』
「金木犀は“陶酔・真実の愛”だし、シロツメクサは“私を思って”だし。」 
『だから、何でそんなに恥ずかしい事をスラスラ言うのかなぁ? だったら、かすみ草の“花言葉”は?』 カリナはゆっくりと聞いた。
「勿論。知っているよ。 カリナが一番最初に教えてくれた言葉だからねぇ・・・。」 デントはカリナの顔を見ながら答えた。
『覚えててくれたんだぁ・・・。』 カリナは花束を机に置いてデントに抱き付いた。
「ッ!!? カリナ!!??」 いきなりのカリナの行動にビックリしたデント。
『デント、大好きだよ』 デントもカリナに答えるかのように抱きしめた。

END


(カリナは違う意味で言ってたけど、僕は“清らかな心”と“無邪気”もカリナに当てはまっているし・・・。)



『強いて言うなら“かすみ草”かな?』
「どうして?」
『小さくて可愛いし、“花言葉”の中にある“魅力”のある花だから・・・。』



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