小説 | ナノ


ありすぎる違和感





ピピピピ…という目覚まし時計の音で目を覚ます。むく、と起き上がると、湿っている目尻とまくらにため息を漏らした。 情けない、あの人が居なくなって何ヶ月たったと思ってるんだ。そうと自分を叱咤してベッドを降りようとした…ベッド?

「っ…!」

私…いつもベッドなんて使ってない。
驚きで残っていた眠気が吹っ飛び、代わりにイヤな汗が出て来る…。床もこんな安っぽいフローリングなんかじゃなくて、もっと高級感溢れる畳だったし…いったいどうなってるんだ。

てゆうか部屋、こんなに狭かったっけ。
落ち着け、落ち着けと自分に言い聞かせながらとりあえず部屋を見渡してみる。
うん、家具の位置も一緒だし、何か盗られた形跡もない。一応中身も確認してみると、特に欠けている物もナシ。最後にクローゼットを開けてみると、そこにはありえるはずが無い物が入っていた。

「………ワオ」

何処かの某漫画のセリフが出てしまったが、まさしくソレはその某漫画の…

「並、中の、制服………」

そう、それは最近ハマり出した家庭教師ヒットマンREBORN!!の中に出て来る主要キャラ達が通っている並盛中学校の制服がハンガーに掛かっていたのだ。
本当にハマったのは最近なので、まだ16巻までしか買ってないけれど(しかもそれの途中までしか読んでないし…)。
しかも今まで着ていた制服は無くなっていた。
とりあえず、並中の制服を着たあとこの家の中を見て回った。
何故並中の制服を着たかと言うと、実は1度で良いから着てみたかったのだ。

家を一通り見てみると、あの人の部屋以外は全て家具とか諸々の位置が一緒だった

まあ、結構部屋が小さくなってたり1階と2階に分けられてたりしたんだけど。あと驚いたのは、洗面所を確認しに行った時、鏡に写った自分が縮んでいたのだ、3歳位。



最後に、家の外を確認するためにドアを開けると…。

「ワオ………」

また某漫画のセリフが出て来てしまったが、それはしかながない、という事にしてもらえないだろうか。
なんせ、両手にすっぽり入ってしまいそうな金色のそれは可愛らしい子狐が、淡い桃色の扇の上に乗っかっていたのだから……。





ありすぎる違和感
(お願いだから)(夢なら早く醒めてくれ)





.