小説 | ナノ






その後何とか持ち直した綺礼が時子と共に朝食の支度をしていると、ぱたぱたと廊下から小さく可愛らしい足音が聞こえてきた。

「trick or treat! おはよう、お姉ちゃん!」
「treat……。おはよう、時子お姉ちゃん」

ばん! と大きな音を立てて扉を開けたのは、黒いローブを着込み黒猫の耳カチューシャと尻尾をつけた凛である。頭や体のいたる所に包帯を巻いた桜も、扉の陰からひょっこりと顔を覗かせている。
とても可愛らしいが、時臣や葵が見れば眉をしかめて嗜めるそれも、時子は特に気に留めた様子もなくにこにことしている。
「子供は子供のうちは子供らしくあれ」。それが時子の教育方針だ。綺礼が時臣から聞いたところ、彼女は凛よりも幼い頃から一端のレディーであったらしいが、だからこそなのか、時子は幼い頃にしか持ち得ない無邪気な精神を尊んでいた。
というわけで、そんな可愛い姪っ子たちに、振り向いた時子は楽しそうに顔を綻ばせていた。

「まあ、可愛い。今年は凛が猫娘で桜がマミーなのね」
「えへへ。お母様に手伝ってもらいました。ね、桜」
「うん。……似合う?」
「すごく可愛い。流石は我が家の娘たちね」

2人を手招いてぎゅうっと抱きしめる時子に、凛と桜もきゃあっと嬉しそうに声を上げて時子に抱きつく。
そうして、いつの間にかまた例の幻術の札を張り直していた時子の顔を見て、凛がひらめいたようにあっと声を上げた。

「お姉ちゃんは、魔女裁判にかけられた女の亡霊?」
「正解! よく解ったわねえ凛」

何故解る凛。そしてそんなヘビーな内容の仮装だったのですか時子師よ。というかそこは嬉しそうに褒める所ではないでしょう、桜も悔しそうに頬を膨らめせるんじゃない。
きゃあきゃあと姪っ子2人を抱きしめている時子をどこか綺礼は遠い目で見、とりあえず我関せずをつき通す事をした。

「ねえねえ姉ちゃん、trick or treat!」
「早くお菓子をくれなきゃいたずらしちゃうよ?」

くすくすと楽しそうにする凛と桜に、時子は笑み深めてぐっと2人を抱き上げると、大量のマカロンとクッキーの乗った大皿のあるテーブルに座らせた。

「さあ、召し上がれ。可愛いお化けさん」

2人の肩に手をおいて優しく促す時子に、小さな猫娘とマミーは目を輝かせて目の前のお菓子に飛びついた。といっても、幼いながらに遠坂家の家訓を忘れずに。さっきは失敗したけれど、逸る気持ちを出来るだけ抑えて、優雅に、淑やかに。
桜の花弁の形の薄紅色のマカロンを口に入れた桜が、ぎゅっと目を閉じて嬉しそうに頬を手で包んだ。

「おいしい……っ! お姉ちゃんの作るお菓子、桜一番すきっ」
「わ、わたしだって大好きだもん! クッキーもおいしいよ、時子お姉ちゃん!」
「ふふ。ありがとう、桜、凛」

振り向いてふにゃりと満面の笑顔を見せる愛しい姪たちに、時子はふわりと微笑んで彼女達の肩を抱き寄せ、そのまろい頬に口付けた。
きゃっきゃと嬉しそうにする彼女達を見て、それもそうだろうなと綺礼は思う。
何せ、彼女にどちらが先に呼ばれたかの数でさえ口論する程の懐きっぷりなのだ。その時子が手ずから作った菓子を食べて、嬉しそうな顔をしない訳がない。
やれやれと溜息をついて、綺礼は淹れ終わったミルクティーを2人の前に置き、ついでに凛の口の端についていたクッキーのかすを指で拭ってやる。もちろん、桜は口の端にそんなものは付けていない。彼女は凛と違って根が淑やかなのだ。

「なっ、綺礼!」
「おはよう凛、そして桜。時子師の作ったお菓子はそんなに美味しかったかね?」
「神父さん……。おはようございます。はい、すごくおいしいですよ。よかったらどうぞ」
「これはこれは。ありがたく頂いておこう」

ボッと顔を赤くして固まる凛を余所に、隣の桜は礼儀正しくぺこりとお辞儀をすると、皿に乗っていたマカロンを1つ手にとって、控えめながら愛らしく微笑んでそれを綺礼に差し出した。
綺礼がそれを受け取っていると、いつの間にか復活していたらしい凛が、きっと目くじらを立てて綺礼に食って掛かった。

「おはようございます綺礼! 口元を拭ってくれてどうもありがとう! でも言っておきますけど、あんなの自分でとれたんですからね!」
「ほう、これは失礼。何しろそれに気付かない程、クッキーに夢中なご様子だったのでね」
「ななななっ!」

ボボッと火が出そうな程にますます真っ赤になる凛を見て、綺礼は満足してほくそ笑んだ。こういう凛の背伸びをしようとしてし切れていない幼い部分を、綺礼はわりと気に入っている。
桜と時子の前でなんて事をしてくれるんだこいつという凛の殺気だった視線には気付かないふりをしつつ、綺礼は桜にもらったマカロンを何食わぬ顔でもっしゃもっしゃと食していた。
なるほどこれは美味いと綺礼が思っていると、彼の入れたミルクティーをこくこくと飲んでいた凛が、ふとふふんと勝ち誇ったように綺礼を見上げて笑った。

「何だね」
「まあまあの味ね。でもまだまだお姉ちゃんには遠く及ばないわ。蒸らしすぎて葉から苦味が出てしまっているもの」
「お姉ちゃん、折角神父さんが淹れてくれたのに、そんなこと言っちゃだめだよ」
「ふんっ。ただアドバイスをしてやっただけよ」

眉を下げて嗜める桜に、凛はぷいっとそっぽを向いて不貞腐れる。

「そうよ、凛。例え気に入らなくても、貴女のために紅茶を淹れてくれた綺礼の気持ちを無下にするのは失礼に値するわ」

意地でも謝らない、という顔をする凛だったが、呆れた顔の時子にたしなめられると、途端に瞬と肩を落としてうなだれた。一応、自分でも良くない態度である事はちゃんと分かっているらしい。それもそれで、余計に性質が悪い気もするが。

「良いのですよ時子師。凛は、いたらない私に“アドバイス”をしてくれたのですから」

お返しとばかりに皮肉気に返す綺礼に凛はまだぎっと睨んだが、時子はそうはいかぬと首を振る。

「そうもいかないわ。それでも褒められた事ではないもの。ほら、凛、綺礼にごめんなさいは?」
「うっ…ううう……ごめんなさい、綺礼。貴方の淹れてくれた紅茶はとても美味しいわ」
「いやいや凛。君にそう言ってもらえるだけで光栄だよ」

納得のいかなそうな顔をしながらも謝る凛に、綺礼は大仰に首を振って応じる。
ともかくこれでけじめはしっかりとついたと満足するように頷いた時子だったが、しかしすぐに悪戯を思いついた子供のような顔をして、桜と凛の腰を掴まえ、そっと自分の体へ寄せた。
その手付きに何かよからぬものを感じたのか、2人はびくっと警戒するように身体を揺らして、お菓子を食べる手を止めた。

「さあて、私の可愛いレディーたち? 今日は何の日なのか、理解はしてるわね」
「? もちろん。ハロウィンだからこんな格好をしているのよ?」
「うん」

にんまり、と不思議の国のアリスに出てくるチェシャ猫が浮かべでもしそうな程に笑みを深める時子に、凛は不思議そうな顔をして答え、桜もこくこくと頷く。

「そう。なら、私も言おうかしら」
「へ?」
「え?」
「trick or treat!さあ、お菓子をくれなきゃいたずらしちゃうわよ 」

ほぼ同時に声を上げて首を傾げた姪たちに、時子は大人げなくそんな事を言う。
しかしそれは予想されていたらしく、2人は特に焦った様子も見せず、むしろ勝ち誇ったように自分の衣装をまさぐって……次第に焦ったようにまさぐり続けた。

「えっ、あっ、あれっ。おかしいわ、ちゃんと昨日準備して寝たはずなのにっ………!」
「あ……っ! 昨日、わたしたち、朝起きたらすぐにお姉ちゃんに言いに行く予定だったから!」
「うそっ、じゃあパジャマのポケット!?」

どうやら、着せてもらった仮装の衣装に浮かれて、お菓子を移し替えるのをすっかり忘れていたらしい。
あわあわと慌てるこあくまたちに、元祖あくまは逃げられない方に、さりげなくがっしりと腰を捕らえていた。
凛と桜はそれに気づくと、さっと顔を強張らせる。

「残念ねえ。お菓子がないのなら、悪戯するしかなくなっちゃう」
「ベ、ベッドまで、と、取りに………」
「だああめ」

どもりながらひくひくと顔をひきつらせて言う凛に、時子にっこりと、見る者全てを魅了しそうな程艶やかな笑みを浮かべた。勿論、この状況下でなければ、の話だが。

「イタズラ開始ー!」
「きゃあああっ!? あっ、はははははははっ、止めてー!」
「きゃ、あははははっ…や、やだおねえちゃ……ははははは!」

言うやいなや、時子は凛たちの腰に添えていた手を脇腹辺りでさわさわと動かした。
こしょこしょこしょ。それは所謂くすぐりというやつで、幼い子供の柔らかい腹はまさに恰好の獲物なのである。
当然くすぐったがりじたじたと暴れる2人だったが、時子は止めない。むしろもっと手つきを細かくしている。
彼女は姪たちといる分、むしろ彼女自身も子供のようになっている気がする綺礼だった。いや、たぶん気がするではない。






ようやく時子の悪戯も一段落ついた所で、葵と時臣がそろって厨房に顔を出した。

「おはようございます、時臣師、奥様」
「ああ、おはよう綺礼」
「おはようございます、綺礼さん」

恭しく一礼する綺礼に、時臣と葵は笑顔で返す。そしてやはりというか何というか、彼らもなかなかに凝った仮装をまとっていた。

「時臣師のそれは、ドラキュラでしょうか」
「そうなんだ。協会に所属していた君がいるのにこの格好はどうかと思ったんだが、妻が既に凝ったものを用意してしまっていてね」
「いえ、ドラキュラ物語の起源となったのは厳密にいえばウラド4世ですし、特に問題はないかと」
「そうかい?」
「ええ」

ふっ、と緩やかに苦笑する時臣の格好は、いつものより少しフリルなどの装飾が目立つ白のドレスシャツに、襟が大きく立った裏地の赤い漆黒のローブをまとい、金の釦とチェーンで前を止めている。
ご丁寧に八重歯まできっちり口の端から見えているのを見るところ、葵は随分気合を入れて時臣の衣装をこしらえたらしかった。

「………それで、奥様は…」

綺礼は何かコメントしようとし、少し言葉に迷って口を閉ざした。
葵の衣装は、いつもの服と同色の、体のラインを強調させるドレスを着ている。それは確かにいかにも仮装らしいものであったが、しかしハロウィンの仮装特有の人外らしい個所が見当たらない。
綺礼がコメントに詰まっていると、葵がふいににっこりと笑顔のまま自身の髪に触れた。
それと同時に、びょん、と髪の一房が跳ね上がる。
そしてそれを皮切りに、次々と葵の髪が跳ね上がり、ふらふらと不安定に揺れ始めた。

「――――!?」

時子の仮装を見た時同様、ぎょっとして絶句する綺礼に、葵は満足そうに口元を隠してくすくすと笑う。

「私の仮装はゴルゴーンよ、綺礼さん?」
「…………は、いや、これは。何とも凝った仕掛けで。タネはどうなっているのですか?」

驚きながらも何とか言葉を返す綺礼に、葵は待ってましたとばかりに嬉しそうにそれに答えた。

「髪に特殊なジェルを塗ってね、衝撃と同時に跳ねるようにしたの。ここまで来るまで、髪を触らないようにするのが大変でした」

確かに、髪とは人が無意識のうちに最もよく触ってしかう個所の1つだろう。しかし、それにしたって気合を入れ過ぎではないだろうか。

「そういえば綺礼さん、まだ言っていませんでしたね。trick or treat」
「……………は」

行き成りそう言ってきた葵に、綺礼は反応に困って少し逡巡する。
trick or treatも何も、綺礼はお菓子など常日頃から持ち歩いてはいない。わざわざ誤魔化すのも面倒であるし、さっさとないと言ってすましてしまおう。
そう思って半ば呆然としてつっ立っている綺礼の手に、不意に時子がそっと何かを握らせた。

「?」

不思議に思った綺礼を無視し、時子ぐっとその何かを握らせた手の方の肘をついて手を上げさせる。
唐突の行動に抵抗する間などなく、上げて反射的に開いた手には、小さな可愛らしい包装のされたキャンディーがちょこんと乗っていた。

「まあ、意外だったわ。綺礼さんはハロウィンなんて忘れていると思っていたのに」

それを見た葵が驚いたように目を丸くして、すぐににっこりと笑ってありがとうございます、と綺礼の手の中のキャンディーを取った。
ええ、貴女の言う通り忘れたどころか記憶に端にすらこんな行事は記録していませんでしたよ。と綺礼は思ったのだが、何となく口に出してはいけないような気がして口を噤む。

「でも残念だわ。お姉さまは毎年早起きしてお菓子を作ってしまうから、悪戯できるのは綺礼さんくらいだったのに」

ほう、と頬に手を当てて溜息をつく葵は本当に残念そうだ。
綺礼がそれを意外に思っていると、不意にぎゅ、と服の袖が握られた。
後ろを向くと、綺礼のカソックを握りしめた時子が、綺礼を壁代わりにして葵を警戒するようにその肩の端からひょいと顔を覗かせた。珍しく、その表情は恨めしそうにじと目で葵を睨んでいる。

「駄目よ。葵の悪戯はえげつないもの」
「あら、お姉さまったら酷い」

心外そうな顔をする葵に、時子はどの口が、と悪態をつく。
本当に珍しい。綺礼が当惑して2人を見ていると、葵が大仰に溜息をついて首を振った。

「えげつないなんて心外だわ。私はただ、私が用意したお姉さまの為の衣装を、私が満足いくまで堪能していただけなのに。それに、あの時のお姉さまはあんなに……」
「きゃああっ! 口をっ、今すぐその口を閉じなさい! 私にあんな格好をさせといて、尚かつ写真にまで撮って、よくもいけしゃあしゃあと………!」

葵の言葉に声を荒げる時子は、何とも悔しげで涙目だ。ついでに顔も熟れた苺の如く真っ赤である。
余ほど恥ずかしい格好を強要させられたのだろう。それに加え、話を聞くと記録にまでバッチリと残されたのだろうと推測できる。
うん、これは怒っていい。

やいのやいのと綺礼を挟んで喧嘩と言えない喧嘩をする義理姉妹を困り果てた綺礼を見かねた時臣が治めて、丁度キッシュとパンプキンパイも焼けた所で、居間に移ってみんなで朝食を食べる事になった。
遠坂家の食卓に並ぶのは、毎回種類は違えど洋食だ。
ご飯はプレートに乗せられて出されるが、もしかして凛たち姉妹はおろか時臣達姉弟も味噌汁というものを飲んだ事がないんじゃないだろうかと、そんな日本人にあるまじき食生活を、テーブルに並ぶ洗練されているにも程があるフレンチやイタリアンを見る度に思う綺礼である。実際、彼がこの家に居候して1年と半分。味噌や漬物がこのテーブルに並んだ事は一度もない。だんだん存在すら知らないのではないかと不安になってくる、美味しすぎる洋食のラインナップである。

「………そういえば、綺礼は仮装をしていないけれど、良いんですか?」

そう、っと上品にキッシュをフォークで食べる凛の言葉に、それもそうなのかもと綺礼も思う。
いや、普通ならたかがハロウィンで仮装などしないのであろうが、こうも他の面々がバッチリ決めていると、逆に自分がおかしいのではないかと思えて来てしまうのだ。日本人特有の集団心理である。

「そうねえ…でも、ある意味神父のカソックだって、一般人から見てみたら仮装のようなものだし。ほら、時臣のドラキュラとセットにしたらぴったりじゃない?」
「……………師よ、お戯れも程々に」
「ふふふ、ごめんなさい」

にこにこと楽しそうにする顔半分が焼けただれた美人に、綺礼はつきたくなる溜息をぐっと堪える。師を前に溜息などつくものではない。

「じゃあ、後で何かそれなりのものを……あ、でも、綺礼と時臣じゃ、随分体格が違うわよね」
「私は綺礼のように鍛えてはいませんからね」
「お、お父様は今のままで十分素敵ですっ! むしろ綺礼が鍛えすぎなんですよ!」

苦笑する父に、精一杯彼を擁護するファザ…もとい凛。そしてこくこくと隣で思いっきり首を振る桜。
相変わらずすぎる親子を綺礼がどこか呆れた目で見ていると、不意に葵があっと声を上げた。

「なら、丁度良いのがあったわ! あれなら簡単かつ完璧なできになるし、綺礼さんが今着ている服でも異和感はなさそう!」

ぱん、と手を打って少女のようにはしゃぐ葵に、遠坂家の面々同様不思議そうに首を傾げた綺礼は、どうか変なものではないようにと願った。この流れだと、それを着ない訳にはいかなそうだし。






で、結果。

「ふ、ふ……あはははははは! に、にあっ…似合ってるわよ、綺礼!」
「くっ、ふ、ふふふふふふふ……。ご、ごめんなさっ、綺礼。あ、あんまりにも、にっ、似合い、過ぎ、て…………くくくくく」

遠慮など微塵もせず大爆笑するのは、黒い耳の猫娘。そして必死に笑いをこらえようとしているが全く上手くいっていないのは、顔半分が焼けただれた火あぶりで死んだらしい女の亡霊だ。
普段なら後ろにいるドラキュラ伯爵なりゴルゴーンがたしなめるのであろうが、隣のマミー同様最早声も出ない程にツボに入って必死に笑いをこらえている。
その前には、チェーンソーを持った、どこか異様な格好をした男が1人。
つるりとした陶器の白い面に、空気穴と目を見えるようにするための穴がぽつぽつと空いている。
ここまでで察しの良いものは解るだろう。そう、ホラーの定番中の定番、ジェイソン……に扮した綺礼である。
本来ならこの時代にはまだ登場していないが、そこは友情出演という事で。
そして、彼等が何故笑っているのかというと、彼があまりにも実物にハマりすぎているからだ。

「奇跡的な程のシンクロ率………!」
「すごい、今も狂気に走りそう……!」

ひくひくと肩をふるわせる彼らに綺礼が何の気なしにヴィンとチェーンソーの電源を入れて振って見せると、またこらえきれていない笑いがもれた。

「(………解せぬ)」

いかにも面白おかしそうな彼等を見て、綺礼は1人、遠い目をして現実逃避に走りだすのであった。