標的13その後 皆さんこんにちは、先日ツナさんに助けられ運命的な恋をした三浦 ハルですっ。 今日はそのツナさんの家にお邪魔することにしました! 「こんにちはー! ツナさーん、あなたの愛しのハルですよー!!」 バーン! という音を立てて、勢い良くツナさん家のリビングへと続くドアを開けると、なにやらほのかに甘い香りがしてきました。 「……はひ?」 「んなっ、ハルお前、勝手にオレん家入ってくんなよ…!」 「え…? ああ、ハルちゃんか。いらっしゃーい」 そこに居たのは、呆れた顔をしながらも、追い出すようなマネはしない優しいツナさんと、フリルの付いた純白のエプロンを着、両手においしそうなスウィーツの乗ったお皿を持ちながら、にっこりと微笑んで振り返る少女がいました。 ……はっ、はひはひっ。 凄いです、凄すぎですっ。まさにお伽話に出て来るお姫様見たいですっ。 雪みたいに真っ白な髪に、整った顔立ち、大きな蜂蜜色の瞳に、まさにボン・キュッ・ボンのめり張りの効いたボディ…!! ほんとのほんとに、絶世の美女って言葉はこの人の為にあるんじゃないかっていうくらいの美人さんですっ……!!! ……………あれ? でもこの人、よくよく見てみたら、この間ツナさんと一緒にいた娘(コ)ですよね…………? はひっ、そう考えると、俄然、負けてなんかいられませんっ! 「ちょっと、そこのアナタ!」 「ふえっ、私……?」 はひーっ、なんて可愛らしい声を出すんですかっ! むむむ……ますます負けていられませんっ! 「アナタ、この前もツナさんと一緒にいましたけど、ツナさんとは一体どういった関係なんですか!?」 「へぇっ? えと、どうというと……?」 「だ・か・ら!! あなたとツナさんは付き合ってるのか聞いてるんですよ!! どうなんですか、えぇ!!?」 「(ヒィッ)と、とりあえずハルちゃん、落ち着いて…」 心底まいったというような顔した美少女さんが、苦笑いをしながら息巻いているハルに、手に持っていたお皿を差し出しながら言った。 「と、とりあえず……パンナコッタでも食べながら、話しません?」 そう言って目の前に差し出されたキラキラと輝く美味しそうなパンナコッタに、ハルは思わず心奪われて、頷いてしまいました。 ♪ 「―――――と、いうわけで、親が不在の私の為に、綱吉のお母さんが私に寝る以外は此処に居なさいって言ってくれたっわけです。…ドゥーユーアンダースタン?」 「………なるほどぉ〜…」 ふんわりと柔らかな湯気を立てるダージリンティーを優雅な動作で飲みながら、簡潔に事の説明をする初音ちゃん(名前を教えて頂きました!)に、甘い甘いパンナコッタにすっかりほだされてしまったハルは、反射的に納得して頷いてしまいました。 「っていうか、ハル。お前何でオレの家知ってたの?」 「あ、リボーンちゃんにお聞きしました!」 ハルと同じくパンナコッタを食べていたツナさんが、不思議そうに首を傾げて聞いてきたので、にっこり笑って答えると、何故か額に手を当ててうなだれてしまっいました。 はひ? なんででしょう。 「ははは。ハルちゃん、綱吉は置いといて、まだまだパンナコッタあるから、好きなだけ食べてってね?」 粉雪のように優しくふわっと笑う初音ちゃんに、つられてへにゃんと笑ってまたほだされそうになってしまいましたが、ハッとしてぶんぶんと頭をふり、丁重にお断りしました。 「すみません、ケーキはハル感謝デー以外は1日に1コって決めてるんです…」 「「ハル感謝デー」?」 ハルの言った「ハル感謝デー」と言う言葉に疑問を持ったのか、なあにそれ、と可愛らしく小首を傾げてきょとんとした顔でオウム返しにに聞いてきた初音ちゃんに、つい意気込んで説明をしていまいます。 「実はですねっ! ハルは月に1回、1ヶ月頑張った自分へのご褒美という事で、『ハル感謝デー』なるモノを決めて、その日はハルの好きなだけケーキを食べていいという決まりを設けたのですっ!」 「わあっ、なにそれ素敵っ!! ハルちゃん、その時には是非、私を誘ってね!?」 「はひっ! もちろんですよぉっ! 初音ちゃん!!」 「〜〜〜〜っ、もう……っハルちゃん可愛い! 大好きー!!」 キャーっと歓声を上げてハルに抱き着く初音ちゃんに、同性ながらもときめいてしまいますっ。 その後ろでなにやらツナさんが焦っていますが、この際無視です、無視。 「はぁ〜〜っ、もおホント可愛いわハルちゃん。 綱吉、ハルちゃんに早くお嫁に来てもらいなよ、そうすれば私もっとハルちゃん堪能できるから」 「アホかー――――!!! まったくもう。初音、変なトコスイッチ入ってるぞ。とりあえずハルから離れなさい」 「ちぇー」 初音ちゃんの後頭部に目にも留まらぬ速さでチョップを食らわすツナさんに目を見開いていると、初音ちゃんはそれに全く同じずに、渋々といった感じてハルから離れていきました。 ………ちょっと残念です。 ――――なんというか、初音ちゃんとツナさんには、他の人には無い、どこか言い知れぬ絆があるようです。 それは、少し嫉妬してしまうけど、でも何故だかすんなり受け入れてしまえるナニカ。 ……まるで、長い間ずっと一緒に寄り添って過ごしてきたかのように。 たしか初音ちゃんの話によると、お2人が知り合ったのは今年の4月のはずなんですが…。 ……うーん、不思議な関係です。 ―――と、ハルがい1人で悶々と考えていると、不意に壁にかけてある時計を見た初音ちゃんが、あっと声を上げました。 「………?」 「ハルちゃん、もう6時近いけど、お家の門限とか大丈夫?」 「はひっ、うっかりしてましたっ!」 初音ちゃんの言葉に驚いて時計を見上げると、あと10分もしないうちに6時になるという時間でした。 慌てて僅かに残っていたパンナコッタを口に入れ、少し…イエかなり勿体ないですが、ぬるくなってしまってもまだ豊潤な香りと美味しさを保っているダージリンティーでソレを無理矢理流し込むハルに、ツナさんが心配そうな顔をして尋ねてくれました。 「ハル、良かったら此処で夕飯食べてく? 家は別に大丈夫だけど……」 「あっイエ、実はまだ学校の宿題が少し残っているので、今日はこれで失礼しますっ…!」 わざわざありがとうございますっ、と付け足して、床に置いておいたバッグを引っつかみ、バタバタと慌ただしく家をおいとましようとしていたハルを、初音ちゃんが呼び止めて、何かをハルにむかって放りました。 「ハ〜ルちゃんっ、コレどーぞ」 「へ……はひっ?」 咄嗟に投げられたソレを受け取り、そっとソレを包んだ手をひらくと、透明な包装紙の中に入った色とりどりの美味しそうなお菓子達が現れました。 「それ、昨日作った‘初音の特製マカロン’。 イチゴとかチョコとか、色んな味のが入ってるから、宿題の合間に息抜き代わりに食べてね」 「…………っ!」 その言葉に驚いて顔を上げると、優しげに微笑む初音ちゃんの視線とぶつかりました。 嬉しくって、ギュッとマカロンの入った袋を抱きしめると、改めておいとますべく、リビングのドアに手をかけて、でも少しだけ振り返って、初音ちゃんに言いました。 「初音ちゃんっ、これからはハルのこと、‘ハル’って呼んで下さいね!? それではっ!」 それだけ伝えると、急ぎ足で玄関にある靴を履き、そのままダッシュでツナさん家を後にしました。 家に続く道を駆けながら、ハルの心は、まるで手鞠のようにぽんぽんと弾んでいく。自然と口の口角が上がるのが、自分でも分かる。 ………何故だろう? ココロが、弾む。 トキトキと、僅かに心臓が、早鐘を打って。 むず痒いような、不思議な感覚を、ココロが紡ぎ出す。 ああ、そうなんだ……これが――― ココロが弾む―――ワクワクするって、こういうコトなんだ。 ――――今までで見た事がないくらい完璧な彼女。 その彼女と、友達になる。 名前を、呼んでもらえる。 これから、同じ時を過ごせる。 その事実に、 私は確かに、ワクワクしていたんだ―――― Perfect girl!!! (かつて無いくらい)(完璧な方です…初音ちゃん!) あーっ、ハルの口調って、意外と難しい。 これからも、番外編で色々なキャラ視点で行こうと思ってますが、所々キャラっぽくない所があるかもしれないですが、どうぞ飽きずに付き合って下さいっ。 2009.8.24 更新 加筆 2011.9.22 ← |