駒鳥とチワワ | ナノ


プロローグ





「〜〜〜♪」


私は軽く鼻歌(並中校歌)を口ずさみながら、マンガの入っる袋をぶら下げて歩いていた。
今日は「家庭教師ヒットマンリボーン!」の単行本の発売日で、コミック派の私はずっと心待ちにしていたのだ。

特にその中に出て来る「雲雀恭弥」が大好きで、彼の影響でトンファーを習い始めたくらいだ。
その甲斐もあり、いまじゃここら辺じゃ怖いものなしと言っても過言ではない。


「(さて、家に帰ってゆっくり読むかな)」


上機嫌のまま横断歩道を歩いていると、不意に、視界いっぱいにトラックが広がった。


「!?」


まずい、逃げなきゃ。
そう思った時にはもう、体は宙を舞っていた。
ああ、私、死んじゃうんだ…。

そう直感して、霞む意識の中で最後に言った言葉は、

「リボーンの、つ、づ、き……」

我ながら、もうちょっとマシな言葉は出せないのかと思った。






………ん?
目を覚ますと、見馴れない天井が目に入った。
あれ?私、死んだんじゃなかったっけ。

だって、自分が死んで行く感覚を、今でも鮮明に思い出せる。
それを思い出して、思わず自分を抱きしめようとすると、ある違和感に気が付いた。


あれ、何で自分の反対側の腕に届かないんだろ。
ってゆうか、何で手が紅葉ぐらいの大きさしかないんだろう。

頭に?マークを10個ぐらい浮かべていると、ガチャ、と部屋の窓が開いて、綺麗な男の人と女の人が入って来た。


「ほら、見てみなよ清華、やっぱりこの娘は僕似だろう?」

「まあ可哀相に、性格は私に似ると良いですねぇ」

「あっれぇ!?」


………なんだこの夫婦、奥さんさりげなくSっぽいし、男の人可哀相だなぁ〜。


「ほ、ほ〜ら恭華〜、お父さんだぞ〜」


そう言って、男の人は私を抱き上げた。
…………ん?
抱き上げた? 私、今年で大学3年なのにそんな軽々と抱き上げられるわけ……っていうか何!! 私、この人達の子供になっちゃったの!? てことは転生ですか!!!


…どうせなら、普通の家じゃなくてリボーンの世界に転生したかったな〜…。
例えば雲雀さんとか。


「ちはーっす、雲雀さーん。並森宅急便でーす」


…マジですか。

向こうにいるお母さん、お父さん。
どうやら私は、死んで雲雀家に転生してしまったようです。





加筆 2011.8.23






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