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花京院典明は夜が明けるとともに目を覚ました。
偶然にもその時、名前の瞳をみた


とても眩しかった、宝石のようだった。
輝く青緑の彼女は聖女のようだった。
それは彼女の隣にいる承太郎も僕と同じ考えをしているのだろう
承太郎にしては珍しく呆けた顔で彼女をただただ見つめている。
彼女に至っては、太陽を眺めるのに夢中で、僕にも承太郎にも興味はない様子だ。
出会ったころから彼女は自分の感情に正直で、他に目を配る気配なんか微塵もない
いつでもやりたいことをやっている、そんな印象だった。
ふと、出発前に彼女に手当てをされた額に手をあてる。
熱もないのに、じんわりとそこが暖かくなった

この気持ちはなんなのかはわからなかった。
“理解者”ができた喜びなのか
“神”を信仰する感情にも似ていた
“憧れ”が一番近いような気もするし
“恋”といっても間違ってはいない。

だがこれは、彼女の“カリスマ”に魅了されただけなのかもしれない。

朝陽が上るのは早く、名前の瞳はいつもの琥珀に戻った。
琥珀の名前は力強く“正義”に溢れた表情をする
緋の名前は“妖艶”で
碧の名前は“清らか”だった。
同じ人間でここまで印象が変わるなんて、
あの目を見た者は思うだろう。

_誰しもこの瞳に魅了されるのだ_


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