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「はぁ、危ないところだった…。」
名前が息を整えているとき、ジョセフたちが少女をスタンド遣いじゃないかどうかを疑っていた。もちろんこの子はスタンド遣いじゃあない。
進行状況はヴィジョンで見たものと同じだがこれからどうなるかわからない、
もし、このことにより自分が標的になった場合。スタンドを持っていない私はどう対応しなければならないのか。

「どうしようか…。」
「何がだ。」
煙草を吹かしながらやってくる承太郎。
それにあからさまな嫌悪感を示す名前。名前は煙草が嫌いなのだ、それに承太郎は未成年者だ。場所も名前が好きな海、ここでそれを吸うのは何だかジョナサンに無礼な気がした。

「ここで煙草を吸うのはやめてくれ、私は煙草が嫌いだ。副流煙が気になる
吸うなら陸で一人の時に吸えよ」
フンとそっぽを向きながら言う、承太郎も少しは怒るんじゃないかと思えるほどツンツンと刺の入った言い方だったが、承太郎は眉ひとつ動かさない。
数秒、お互い見つめ合う。見つめ合うというか睨みあっていた

「そのおねえちゃんの言う通りですぜ。」
二人の沈黙に入ってきたのは船長だった。
コイツ…この男は予知で見た魚のようなスタンド遣い。こいつが現れればもうヴィジョンで見た通り。船長が承太郎を挑発し、それを承太郎がつっかかったと思いきや単純な方法でこの船長がスタンド遣いだと見破った。

「…ッ!」
だが唯一違うのは海に引きずり込まれたのが名前だったってことだ。
船長のスタンドに制服のスカートをつかまれ、そのまま奴につかまってしまった。
この場で人質になるはずは女の子のはずなのにどういうわけか名前が人質となってしまったようだ。あぁ、もうこの未来は変わってしまったらしい、ここで承太郎は私を助ける為に奴に触れ、フジツボがついてしまうだろう、
未来が変わってしまったこの状況では承太郎がここで戦闘不能になる可能性もある。

「空条ッ!!私を助けようとするんじゃあねぇぜ!!」
その言葉により反射的に一瞬手が止まるスタープラチナ。
それにより名前は船長と二人仲良く海へと落ちてしまう

「いいかお前ら!決して私を助けようなんかするなよッ!!」
「ぉお?いいのかい、そこのおねえちゃん!」
水面に顔を出して彼らにそういうがどうも納得していないらしい、
これは早くにでもカタをつけないと私を助けようと飛び込んでくるかもしれない。

「よぉ〜〜こそ、クックおねえちゃん俺のスタンド『暗青の月』が見えるということはスタンド遣いだろう?ようこそ暗青の月の独壇場、海中へ」
足をつかまれ水中へと引きずり込まれる。水中だというのに奴の声が聞こえるのはおかしい、と疑問に思ったと同時に船長が疑問に気づいたのか答えた
奴が言うにはスタンド遣い同士ではスタンドで会話できるから水中でも会話ができるとのことだが、それはおかしい。何故なら名前はスタンド遣いではないのだから。

奴のスタンドはスクリューの回転よりシャープに動く。
そして掴まれた際につけられたフジツボ、奴のスタンドで作られた渦の中にはカッターのようなうろこが無数にある。

「フジツボは水吸って重いし鱗は皮膚を抉ってくる…絶望的だな」
「そうだぁ!諦めてお仲間を全員呼んでらん「助けてェ〜」ってなぁ
そうすれば全員皆殺しだぜぇ〜!!」
「いんやぁ?…絶望的なのはあんたの方だぜ」
肺に残っている一呼吸の空気で波紋の呼吸をする。水は波紋を伝導する、しかもこの渦に鱗。ここに波紋が流れればどうなるであろうか。
答えは水の渦で脳までが痺れ、波紋により操られた鱗が奴に向かっていった。

「グワァッああ!?」
鱗によって八つ裂きにされた船長は血をダラダラと流しながら流れて行った。
渦がなくなった瞬間、名前は花京院の法廷の緑にて救出された。

「ありがとよ、花京院くん。助かった」
「いいえ、それより大丈夫かい?」
「あぁ。…もう少しで船が爆発する、急いで据え置きのボートに乗り込もう」
予知では爆発が始まった時にボートに乗っていたが、名前が非常用のボートを用意し、みんな乗り込むと同時に爆発した。

「本当に名前…ちゃんの能力はすごいな…。
これがスタンドじゃないなんて驚きだ」
「名前でいいよ。『ちゃん』なんて柄でもないし…」
「はは、じゃあ名前。僕のほうも好きに呼んでくれよ」
花京院が関心していると隣でポルナレフはポカンと頬けている。
そうだった、ポルナレフはそういえばこのことを知らないんだった。

「お、お前何者だ…?こいつ予知能力があるのか?」
丁度ポルナレフの横にいる花京院の肩をぐわしぐわしと揺らし私のことを聞いている。

「それが僕もよく知らないんだ、たぶんこの場にいるだれもしらないよ
そしてやめろポルナレフ」
肩に置かれた手を鬱陶しそうに払う花京院に「なんだよ冷てェーなぁ」と小突くポルナレフ。仲いいなこいつら

「…ポルナレフもいるし、ついでに言っておこう、
これは皆に言ってなかったかと思うが、私は夢から未来を見るんだ。」
ポルナレフも加わったことだしこの際詳しいことを話してしまおうと
皆にどのような状況で未来を見るか等のことを伝えた。
そしてこれから船自体のスタンドを使うオラウータンのスタンドが現れること、
このままいけば私以外のメンバーは無事だが乗員は皆殺し、少女は生き残る。と伝えるとポルナレフは信じられないという眼でこちらを見る。

「うーん、イマイチ信じらんねぇけどよー。
未来予知が出来んならお前はこの戦いで無傷じゃないのかよ?」
「この旅は“本来私はいないんだ”」
本来いないはずの私、きっと別の世界の私は今頃学校で勉強漬けだろう
けれども私は予知夢の通りに行動はしなかった、この旅に介入することで未来を変えてしまった。変わった未来は私は見れないことを話す。

「不思議な能力だなァ…」
「うむ…だが常々思ってはいたがやはりそれはスタンド能力なのではないかね
名前にはスタンドが見えているようだし…」
ポルナレフが「そんな能力もあるのかー」と呟くとジョセフが名前にこう訪ねた。
そう言われてみればそうかもしれない、じゃないと私がスタンドが見える辻褄が合わない。でもそれは私は自由に使えなくて、現実にも表れないとなると…


「そうか…。わかった」

「何がじゃ?」
「・・・いや、何でもない。もう暗いし私はそろそろ寝るよ」
ジョセフの疑問を「何でもない」とだけ言って腕を組み心地よいとは言えないボートで夢を見ることにする。


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