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ざぷんざぷんと心地よい波の音。
この綺麗なオーシャンブルーの光景が好きだった、名前はこの光景に昔から憧れていた
初めて海を見たのは中学生の頃。両親と一度いった。名前はひどくこの綺麗な色に感動して、「また来ようね」と両親と約束したのを覚えている

(ジョジョ。君はこの綺麗な場所で死んでしまったんだね、
君の瞳と同じ色と共に溶けてなくなってしまったのだろうか。)
海を眺めながら、一つ。頭の中で疑問を巡らす
ジョナサンは確かに存在する人物だった。そして死んでしまった
だけれども何故、何故彼は自分の中に存在するのだろうか
それを本人に聞きたいのは山々だけれど、それを聞いたらジョナサンが遠くに行ってしまいそうな気がして、どうも聞きたくなくなってしまう。

「ま、いっか。」
ジョナサンはこの海と共に、溶けていったのかもしれないけれど
自分の中に確かに存在しているじゃあないかと疑問をなかったことにしてしまう。
視点を船に戻し周りを見渡すと密航だのなんだのって騒いでいる乗員たちが目に付いた
、どうやら船に子供が紛れていたらしい。
ヴィジョンには子供の密航者なんて映っていなかったということは敵じゃないのだろう
今回の敵スタンドとは関係ないので名前は安心していたが
何やら乗員と揉め事を起こしたようで、
ザブゥンと音を立てながら密航者の子供は船から飛び降りてしまう。泳いで陸まで行く気なのだ

「おい、あの子飛び降りたぞ。」
「ほっときな。泳ぎに自信があるから飛び込んだんだろーよ」
花京院の心配も他所に承太郎は至極落ち着いている。
名前自身も普段ならそう思うだろうよ、だがそうも言ってられない状況が今出来上がってしまった。
なんと密航者に大きな背びれをもったサメがむかていっているじゃあないか、
予知にはなかった情報に内心驚きながら名前は子供を助けるため海に飛び込む。

「あぁ、でも私泳ぎに自信はなかったんだわ…。」
ここで波紋を流してサメを追い返すのもいいかもしれないがここは海。
波紋が伝導してしまいこの子供も危ない。だとすると

「翔りぬけるッ!」
子供を俵担ぎで波紋を足から流し水面上をバシャバシャと乱暴に走る。
子供は終始不思議そうな顔をしていた。真面目に波紋の修業はしてこなかったせいでのゆらゆらと足取りがおぼつかないがなんとか走れる
これで子供に被害はあたらない、足から波紋を思い切り流すと奇声とともにサメは水中深くへ沈んでいった。

「ふん、へぼいサメ公だな」
ふぅ、と安心したときこの子供になにか違和感を感じる。
肩に柔らかな感触を感じる、今まで男の子だと思っていたがどうやらこの子女の子みたいだ。波の揺れで丁度脱げてしまった帽子からは長い髪が現れた。

「君、女の子だったのかい。」
「た、助けてくれてありがとう・・・お姉さん」
「いやいい。君に怪我がなくて何よりだ」
無遠慮に触ってしまったことが心苦しさ故にジョナサン直伝の紳士口調が出てしまう。
少女はそれほど気にしていないらしいのは何よりだがなんだか頬を赤らめている。
そんな姿がなんだか愛らしく感じて少し名前は微笑んだ

「おい!下だッ!!下を見ろ!!」
安心しきっていた名前に承太郎が声をかける珍しく承太郎が声を荒げていた。
名前は言われた通り下を見てみると気味の悪い魚のようなスタンドがこちらを見ている

(この状況…。ヴィジョンでは確かこの状況は本来承太郎のポジションだ)
あぁ、あれだけ未来を変えるまいと思っていたのに自分から変えてしまった。
本来承太郎を助けるはずだった花京院の法廷の緑で船に打ち上げられたことにより難を逃れ、まず一息つく。


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