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キメツ幼稚園〜将来の為にお仕事体験〜後編




「なに色にしようかな〜実弥くんは決めたの?」


「うん、おれは赤にする」


今はお花屋さんでブリザードフラワーで小さなブーケを作っている、実弥と夢。


「私も赤にしてもいーい?」


「うん、いいよ!」


この時間、お花屋さんの体験希望者は他にはおらず、実弥と夢だけ。お母さん達はまだ少しゆっくりしているようなのでお母さん達も見にきていない。スタッフのお姉さんと実弥達だけなのだ。
警察署のように邪魔するものもおらず、実弥は安心して体験できて今この時間がとても幸せ。
ただ、スタッフのお姉さんは最近恋人と別れたばかりだったので、幼稚園相手でも2人のラブラブオーラに少し、ほんの少しだけ嫉妬していた。

2人とも今作っているお花をお母さんにプレゼントするようだ。
花を選んだ後は花を包む不織布を選び、持ち手の部分はまだ2人とも上手く結ぶことが出来ないので、スタッフのお姉さんに結んでもらい、完成。
2人ニコニコでお花屋さんから出ると丁度、お母さん達が待っていた。


「お母さん、これ、あげる」


「あらー!綺麗!ありがとう」


夢がお母さん見て見て、お母さんに作ったのー!と元気良く小さなブーケを渡している横で、少し恥ずかしそうに実弥もお母さんにブーケを渡す。嬉しそうなお母さんに釣られて、実弥も笑顔だ。


ブーケを渡し終わったら、次はソフトクリーム屋さんへ。
ここでタウンマネーを払い、エプロンをして記念撮影。
手を洗うと、早速見たことのあるコーンにソフトクリームを搾り、ぐるぐると巻くようだ。
上手くできる自信がない夢に変わり、先に実弥がやってみる。スタッフのお姉さんの指示通りにゆっくりとレバーを下げると、ソフトクリームもゆっくり出てきた。それに合わせてソフトクリームを巻いく実弥の表情は真剣。


「わー!実弥くんすごーい!上手ー!」


夢とスタッフのお姉さんに褒められ、実弥は上手に巻けたアイスクリーム片手に無言で照れている。

次は夢の番。そーっと、そーっと…ソフトクリームのレバーを下ろしてゆっくりとぐるぐる巻いていく。


「できたー!見て見て実弥くん!」


「うん!上手!」


2人とも上手に出来たソフトクリーム片手にニコニコして、ソフトクリーム屋さんから出てきた姿はとても微笑ましい。ソフトクリームに刺してもらったスプーンで、夢が実弥にあーんし、ちょっぴり恥ずかしがって戸惑っていたがやっぱり大大大好きな夢が、あーんしてくれてるという誘惑には勝てず、パクりとソフトクリームを食べ、今度は実弥もスプーンでソフトクリーム掬い、夢に差し出してみると夢は嬉しそうに、ためらいなく実弥のスプーンからソフトクリームを食べた。

可愛い…とっても可愛い。ニコニコしながら自分のスプーンから食べてくれる姿に感激し、この心が幸せになる感じはなんなんだろう。
病み付きになってしまいそうな幸せ感をもう一度と思い、またスプーンで掬って差し出してみるとまた嬉しそうに食べてくれて、その姿が可愛くて…とても好きで気に入った。

これを機会に実弥は夢に、よくあーんして食べさせるようになる。

幼稚園2人のイチャイチャぶりを母達は写真や動画を静かに撮っていた。


「これは夢ちゃんのお父さんには見せない方が良さそうね」


「そうですね〜連れてこなくて正解でしたわ」


やはり夢の母は、夫が来れない日を業と選んでいたようだ。


イチャイチャソフトクリームタイムが終わると、本日最後のお仕事体験。
お母さん達に内緒で2人が予約をしたので内容は分からない。ここで待っててね〜!と母2人が連れて来られた場所は…


「「劇場…?」」


楽しそうに手を振って劇場の中へと実弥と夢は入って行った。

何をやるのかしらと劇場の説明書きを読むと、劇場では色んな事をするようだ。ファッションショーやコント、その他にも色んなイベントを行うお仕事体験のようで、夢の母は確か午前中に通りすがりにファッションショーのようなを見た気がしたと言う。
夢ならやりたいと言いそう、実弥くん付き合わせてしまって悪いわぁと言うが、実弥の母は本当にそうだろうかと疑問に思った。
確かに実弥はファッションショーは好んでやりたいお仕事ではないだろうけど、夢ちゃんに提案された時の実弥はちょっと驚いた顔をした後に嬉しそうな表情をしていた。本当にファッションショーなのかしら?でも、何にせよ夢ちゃんと一緒の実弥は幸せなんだろうと思う。




お母さん達が暫く劇場の外で待っていると、可愛らしい薄いピンクのドレスに花冠を頭に乗せた女の子達が出てきて、扉の前の道の両脇に並んだ。その中に夢の姿も実弥の姿もない。
スタッフのお姉さん達が女の子達にお花を配り終わると、扉にスポットライトが当てられ、スタッフのお姉さんが扉の横に立ち、マイクを持った。


「お待たせ致しました。これよりキメツキッズタウン、ウエディングセレモニーを開始致します」


夢と実弥のお母さんは驚いて顔を見あわせ、慌てて動画撮影の準備を始める。


「新郎新婦が入場致します。皆様大きな拍手でお迎えください」


スタッフのお姉さんが話終わると、聞いた事のあるパパパパーン♪パパパパーン♪と結婚式場の音楽が流れ、スポットライトに照らされていた扉が開いた…


そこには蝶ネクタイのタキシード姿の実弥と、白の可愛らしいドレスにティアラにベールを纏った夢の姿。

夢は大勢の人にビックリしながらも楽しそうに笑っていて、緊張しながら歩き始めた実弥の後ろにゆっくりと着いていく。


スタッフのお姉さんの指示通り、実弥は道の両脇にいる女の子達からお花を受け取りながら進む。全てのお花を受け取った後は、そのお花の束をスタッフのお姉さんに渡し、夢が実弥と腕を組むと前に見える噴水へと真っ直ぐ進み、振り返る。


「夢ちゃん可愛いわー!実弥見とれちゃってるわ(笑)」


「本当だわ(笑)でも、実弥くんも似合ってるわね」


ガチガチに緊張していた実弥だったが、横の夢を見るとお姫様のように綺麗で可愛くてずっと見ていられると思い、大勢の前なのも忘れてポーっと夢を眺めてしまっていた。


「それでは先ほどのお花を束ねてブーケに致しました。こちらを新郎から新婦に渡し、プロポーズをお願いします」


ポーっとしている実弥にスタッフのお姉さんがブーケを渡し、「お願いします。と言って渡して下さい」と小声で指示をする。


「…おれと!結婚して下さいっ!」


「はーい!宜しくお願いします!」


これには母親達だけではなくスタッフのお姉さん達まで驚くが、ブーケを受け取った夢が次の瞬間、実弥の頬にチューをしたもんだがら会場が大盛り上がり。
見学していた親達からはおぉ〜!とどよめく声が起き、子供達は興奮してきゃあきゃあ言って跳び跳ねている。


夢にプロポーズして、キスまで貰った実弥の幸せバロメーターが振り切ってしまい、幸せ過ぎてこの後もウエディングセレモニーは続いたが、実弥は夢なのか現実なのかよく分からなくなってしまった。




「結婚式、本格的でしたよねー」


「えぇ、署名までしてましたしね」


キメツキッズタウンの帰り道、実弥と夢は疲れて帰りの電車の中で眠ってしまっている。お母さん達は今日撮った写真を見て楽しんでいた。


「もし、将来2人が結婚式を挙げる事になったらこのムービーを使ってほしいわね」


「そうですね、大切に保管しておかなくちゃ」


だってきっと実弥は夢ちゃんと本物の結婚式を挙げると思うから。
そう心の中で呟いた実弥の母は我が子を見る。寝ていてもしっかり繋いだ2人の手。2人とも幸せそうだ。




しっかり繋いでおくんだよ、実弥。


end.


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