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キメツ幼稚園〜将来の為にお仕事体験〜前編



幼稚園が休みの土曜日。
いつもは幼稚園がないと、大大大好きな女の子に会えなくて悲しい日になるが、今日は違う。
幼稚園がお休みでも夢と一緒なのだ。
夢は子供が職業体験できる施設『キメツキッズタウン』という所があるとTV番組で知り、行きたい行きたい!実弥くんと行きたい!とお母さんとお父さんにお願いした。

夢のお父さんはなんで実弥くんとなんだい?と、嫌な予感を感じながら聞くと…


「だって、私も実弥くんもお仕事しないとお家建てられないでしょ〜?」


「家建てるって!?お父さんは実弥くんとの結婚はまだ許してないぞ!?」


「もう約束したもーん」


「大人になったら、どうかわからないんだぞ!」


「どうして〜?」


「どうしてって…い、色んな誘惑がだな…」


「あら?何に誘惑されるのかしら?」


お母さんの牽制により、お父さんが劣性に。母は強し。
母親譲りの性格の夢は、将来のことも考えたしっかりした大人に成長しそうだ。
結局、お母さんの賛成により、次の土曜日に夢の母と実弥の母の付き添いの元、4人でキメツキッズタウンへ行ける事になった。
お父さんも一緒に行きたかったが、出張で週末は不在の為に行けず。業とその日程を選んだのかは、母しかわからない。

そうして今日は待ちに待った、キメツキッズタウンに行く日なのだ。




「不死川さん、お腹が大きい時にごめんなさいね」


「いいえ、いい運動になりますし、私も楽しみなんですよ」


電車に乗りながら、お母さんはお母さん同士で会話を楽しみ、子供は子供同士でキッズタウンに行ったら何をするか相談中。
ネットに乗っていたキッズタウンのパンフレットをPDFでダウンロードしたものを印刷して持って来ており、夢と実弥は広げたパンフレットを二人で仲良く端を持って見ている。


「あのね、お仕事するとお金もらえるんだってー!そのお金でソフトクリームとか買えるって!」


楽しみで仕方がない夢は、自分が下調べして知った知識を興奮気味に実弥に説明し、楽しそうに話す夢を見れて、実弥も嬉しそう。




「着いたー!実弥くん行こう!」


夢が実弥の手をとり歩き出し、手を繋いで休みの日までもこうして一緒に過ごせる事が嬉しくって仕方がない。実弥の顔はもう母親が少し恥ずかしくなるくらいにデレデレで蕩けまくっている。

仲良くゲートを潜れば、独特な街のテーマパークが広がり、実弥達と同じぐらいの年の子供から中学生の子供達まで沢山の子供がいる。


まず、係のお姉さんに説明を受け、ジョブカードというものを貰った。このジョブカードでやってみたいお仕事を予約するらしい。その他にも頂いたタウンマネー、キメツキッズタウンのマップに親子共々興味津々。タウンマネーを払って体験やお買い物、銀行口座を開設して、貯金までできるようだ。

まず警察署のお仕事を申し込む事にし、ジョブカードを早速提出。警察署のお仕事まで時間があるので、他に何かしてみようということになり、タウンマネーを払ってピザ屋さんでピザ作り体験をする事になった。


「お母さん、美味しいピザ作ってくるからねー!」

「行ってくるねー!」


ピザ屋さんのロゴが入ったエプロンにキャップを被り、お母さんに手を振る夢と実弥。
可愛らしい姿を写真に収めたいが、なんとピザ屋さんは写真撮影禁止。スタッフが代わりに撮影し、有料で販売するらしい。ピザ屋さんの中が窓越しに見えるので、親御さん達は外から見守るスタイル。

スタッフのお姉さんの指示通り、作るピザを選んだ二人は麺棒で生地を伸ばしていく。
上手に丸く伸ばした所で次は生地にトマトソースを塗り広げる。その次はトッピングだ。


「……実弥くん、私のピーマンあげる〜」


「いいの?ありがとう」


ピーマンが苦手な夢は、ちゃっかり実弥の生地の上に乗せ、夢はコーンとベーコン、チーズを乗せて完成。




「お母さーん!出来たよー!」


出来立ての可愛いサイズのピザを専用の箱に入れてもらった二人がピザ屋さんから出てきた。
早速食べてみようと、近くの休憩に移動。


「あら?実弥のピザは随分ピーマンが多いのね?」


「夢、実弥くんにピーマン押し付けたでしょ」


「お、おれピーマン好きだから!」


えへっと笑う夢がお母さんに注意されると空かさずフォローを入れる。この頃から実弥は空気の読める子だった。


可愛らしいピザを食べた後は警察署のお仕事の時間。楽しみにしていた警察署のお仕事は、実弥にとって最早楽しめるものではなく、早く終わってほしい!と思う時間になってしまう。

元気良くお母さん達の元から離れて警察署の中に入って行った二人は、警察手帳を貰い、悪いことをした犯人を捕まえるべく、キメツキッズタウン内で聴き込み調査をする事になり、グループを二つに分けて行動開始。
夢と並んでタウンを歩いていると、同じメンバー内で夢に興味を示した男の子がいたのだ。


「夢ちゃんは、どこからきたのー?」


なんだこのムカつくヤツは。そして、素直に答える夢にも焦る実弥。
相手は、小学生のようで住んでる所が近かったが、実弥達が来年入学する小学校では無かったことだけにはホッとしたが、自分の存在を全く気にしないで話かけてくる男の子に気が気じゃない。
男の子から離したくて、夢にあっちを調べよう!と手を引いて移動しても男の子も着いてきてしまい、街の悪いを捕まえるどころか、この男の子から夢を守る事が最重要任務となってしまった。

そして、何がどうして犯人が見つかったのかよくわからないが、無事に犯人を逮捕できて警察署のお仕事が終了。逃げるように夢の手を引いてお母さん達の所に行き、昼食を取りながら次は何をやるか相談することに。そこで実弥は、さっきのような事が無いように女の子が多そうなお花屋さんを提案し、次に夢がソフトクリームが食べたいと言う事でソフトクリーム屋さんを予約する事になった。

あと、一つぐらい体験できそうだが…


「実弥くん、耳貸して?」


「うん」


夢の呼び掛けに喜んで耳を貸すと、お母さん達には聞こえないように内緒話をする。実弥がビックリした顔をしているが、何だろう、どんな楽しい事を思い付いたんだろうか、あえてお母さん達も聞かずに微笑んで見守った。


「そんなのあったの?」


「うん!さっき見たの。実弥くんとやりたいなーって思ったの!いーい?」


「うん!」


警察署から戻ってきた時の機嫌の悪さが嘘のように無くなり、満面の笑みを浮かべる我が子を見て、夢ちゃんは実弥を笑顔にさせる天才だと母は思った。

昼食と作戦会議を終えた2人はもう少し休憩すると言うお母さん達を置いて、花屋さんへ向かう。


「夢、手」


「はい!」


実弥は大大大好きな夢の手をしっかりと握り、首からキメツキッズタウン会員証をぶら下げた2人は仲良く花屋さんに向かって行った。




end.



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