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キメツ幼稚園〜実弥くんを祝いたい!前編〜




「ね〜天元くん、実弥くんは何が喜ぶと思う?」


「…お前じゃね?」


「私〜?どーゆーこと?」


「女は自分にリボン巻いて私がプレゼントってやるんだぜ」


何やらニコニコと天元の元にやってきた夢。
実弥の誕生日が近くなってきたので、何かしてあげたい!と思った夢は色んな人に何がいいか聞いて回っている。
今は天元に実弥の誕生日プレゼントは何が喜ばれるのか聞きに来たが、何が喜ばれるのかと聞いたら自分にリボンを巻く?という意味不明なアドバイスをもらった。


「そうなのー?天元くんって色んなこと知ってるよね〜!でも、私をあげたらどうなるの?一緒に住むってこと?」


「俺様は知識も派手だからな!ん〜一緒に住むのか…まぁ、不死川にあげるんだから不死川の好きにするんじゃね?」


「何されるか分からないのは嫌だな〜最近実弥くんエッチだし」


「男はそーゆー生き物だからな」


そう、最近の実弥はスカートめくりを覚えたのだ。最初は、ただなんとなくヒラヒラしているスカートが気になってペロッと捲ってみた。
ペロッと捲られた夢は「きゃー!実弥くんのエッチー!」と声をあげで実弥を追っかけ回す。追いかけてくるのが嬉しくて、最近は構ってほしい時にスカートを捲るのだ。

そうして、今も夢がいない!と走り回って探した実弥は天元と話している夢の姿を見つけて背後から接近中。
その姿が皆より背が高い天元には見えている。


「まっ、不死川を喜ばすプレゼント、頑張って探せよ」


!?


天元の言葉を聞いた実弥はピタッと足を止めて固まった。


「うん!天元くんありがとう!実弥くんには内緒にしてね、ビックリさせたいの!」


実弥は夢に対しては感情を押さえられなかったりするが、基本的には賢く空気の読める子だ。
天元が態と自分に向けて言った事も夢が自分の誕生日プレゼントを用意しようとして聞き込みをしていた事も一瞬で悟った。そして、自分がその事を知ってしまったと夢にバレるときっと夢は悲しんでしまう事も理解し、風のように走り去る。




「不死川、何してる」


「シー!静かにしろ」


段ボールハウスの壁から夢の様子を除く実弥に義勇が話かけた。
何だか気になって義勇もこっそり覗いてみる。

ちなみに、段ボールハウスは先日、皆で段ボールの建物を作ろう!と言うことで皆が思い思いの家や、お店屋さんを作ったので教室のあちこちに小さい段ボールハウスが設置されている。

伊之助だけは工作の時間の前にはしゃぎ過ぎて眠くて眠くて仕方がなく、段ボールを敷いてその上に寝そべり段ボールを掛けて見事ホームレスになっていた。

段ボールで囲いを作り、入り口や窓は簡単に開閉できる物もあれば、くり貫いて作られいたりと様々。屋根が無いハウスもしばしばある中、実弥は夢とのマイホームに張り切って屋根もしっかり着けてやった。
入り口に『実弥と夢の家』とクレヨンで表札らしき物を書き、一緒に家の中で夫婦としておままごとをした時間はそれはそれは幸せで、その日、本当の家に帰った実弥はお母さんに「おれ、大人になったら大きい家を建てる!そしたら、皆で住む!」とマイホームの夢を語り、母は「あら?実弥と夢ちゃんの家に入れてくれるの?」聞くと、「うん!とーちゃんもかーちゃんも玄弥も夢の家族も一緒!」と言い、両親を微笑ませた。

そんなマイホームから夢の姿を見つめる実弥。
天元の次は杏寿郎に聞き込みをしているようで、夢の声はあまり聞こえないけどハキハキと無駄にでかい声で話す杏寿郎の声は聞こえる。


「やはり好物だ!おはぎだろう!」


「おはぎは去年一緒に作ったの」


「今年も同じでもいいだろ!」


「え〜やだ〜!杏寿郎くんだったら何が嬉しいの?」


「おめでとうと言われたら嬉しい!」


「それだけ〜?」他にもっと無いのかとちょっと夢は不満そうにしているが実際、実弥は夢に「おめでとう」と言われたいと思っていたし、出来る事なら一番に、誰よりも早く夢に「おめでとう」と言われたい。

一緒に見ていた義勇も状況はわかった。

その後も錆兎先生に聞きに行ったりと自分の事でいろいろ動き回ってくれているのは嬉しいけど、構ってもらえないのは寂しいし、面白くない。




「ここにいたのか不死川、ドッジボールやろうぜ」


「…しねェ」


「よもや!またふて腐れているのか!?」


「お前、面白くない事あると庭に来るんだな」


天元の言う通り、実弥は落ち込んだり嫌なことがあると幼稚園にいる間は庭にやってくる。


「竈門達がボール持って待ってるぞ」


「お前ら2人で勝てるだろ」


「勝てるが人数が多い方が楽しいじゃないか!」


放っておいてほしい。今、実弥は夢が自分の為に動いているんだから、邪魔しないで我慢するべきだという葛藤と戦っているんだから。あのまま尾行を続けていれば勝手に足が夢に向かって行ってしまいそうになるので庭で夢を視界にいれないように頑張っているのだ。


ボスッ

「「あ」」


「へへっ、アウトー!」


待てなくて走ってきた伊之助が実弥の頭へとボールを投げつけてしまった。


「てめぇ…伊之助このやろォォオ!」


額に青筋を浮かべて幼稚園と思えない迫力でボールを掴み伊之助へぶん投げる。


「よっしゃ、やるかっ!かかってこい!この宇随様が相手してやるっ」


「うむ!容赦はしない!」


そうして園児が投げるスピードとは思えないドッジボールが開始された。




「夢」


「あ、義勇くん!」


周りの園児が恐れていなくなるドッジボールを繰り広げている時、夢の所へ義勇がやって来て調度いい!義勇にも聞いてみようと夢は思っていたのだ。


「不死川は夢と一緒にいたいと思う」


「え?」


いきなり本題を話し始めた義勇に夢は何の事か分からず首を傾げる。義勇はちょっと言葉が足りない子。


「誕生日」


「あっ!私が一緒にいるだけ?」


「うん、一緒にいてくれたら…嬉しいと思う」


「プレゼントより嬉しい事かな〜?」


「うん!」と義勇にしては珍しく少し興奮気味に返事をした。天元にも私がプレゼントがいいと言われたし、そうなのかもしれない。
「そっか、義勇くんありがとう!」とニコニコとお礼を伝えると「ムフフ」と笑って義勇も満足そう。


皆からの意見を思い返して…
自分がプレゼント、ありがとうと言う、一緒にいる…そこから夢が導き出した答えは、


「そうだ、お泊まりに行こう!」




end.



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