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産屋敷 実弥くん2



私は今、助けてくれた目を血走らせた青筋王子にしこたま怒られています。

あれ?私やっぱり彼女じゃなかったのかな。だって彼女にあんな顔する?俺の家は駄目だと言われてたけどー遊びに来てそんなに怒りますかねー…しかも、私あなたの兄弟と思われるチャラ巨人に襲われかけてたんだけど。天元さん?そして、それも私が悪いっていうから驚き。実弥くんからすると天元さんに近づいた私が悪いって。近づいたっていうより、取っ捕まったんですけどね。
なんだよ!なんだよもう!実弥くんはやっぱり私の事なんと大して好きじゃないんだ。私の愛がおはぎぐらいだとしたら実弥くんはきっと金平糖ぐらいの愛だ。金平糖尖ってるしピッタリだし、そして、どうせ私はおはぎに勝てないよ!おはぎと私を天秤にかけられたら余裕で私負けちゃうから、おはぎ星人め。


「オイ、お前聞いてるのかァ!」


「聞いてないよぉ!…あっ」


ヤバ、素直に答えてしまった。聞いてないよ!まともに聞いてたら泣いちゃうからぁぁっ!

あ、青筋増えた。
そして双子の弟の玄弥くんはさっきから困っていたようだけど、今の私の発言により実弥くんの怒りが増した事を察しておろおろし始めてしまってる。


「…テメェ、余程俺を怒らせたいらしいなァ」


シィィィィィとか変な呼吸聞こえるんだけど何!?


「玄弥ァ…ちょっと部屋出てってくれねェかァ」


「う、うん」


玄弥くん行かないでよー!!
無情にも玄弥くんは部屋から出ていってしまった。


「自分が何したか分かってんのかって」


「彼氏の家に遊びにきました」


ジリジリと距離を詰められて気付けば背中に壁が触れて本日二度目の壁ドンをされてしまう。なんていうお顔の迫力!綺麗な顔立ちに傷があって…やっぱり私に実弥くんは勿体ないよねぇ…


「自ら襲われに来たようなもんだ、馬鹿がァ」


「スミマセンでした…まさかあんなご兄弟がいるとは思っていませんでした…でも、それならちゃんと説明してほしかったです。てっきり…私、遊ばれてるのかと。実は他にも彼女いても、可笑しくない、かなって」


「夢、テメェ…全然わかってねェ。全っ然っ駄目だァ」


「ん、むぅ、」


えっ、えっキスされてる!?息が出来ない…!
今までされた事なかったし、そんないい雰囲気になんかならなかったから実弥くんは興味ないか、私に対してそーゆー気持ちにならないんだと思っていたよ。

初めてのキスは最初から深くて実弥くんに食べられているように感じる。息が苦しくて実弥くんの体を押すと手を捕まれて壁に縫い付けられてしまった!
実弥くんそんないきなり、いきなり、色気付かれても私ついていけそうにないよぉ!
舌を舐められて舌に吸い付かれた時、背中にゾクゾクとしたものが走って立っていられなくて壁に背を付けてズルズルと下がって床にペタンと座り込む。その間も下がりながらも唇は離してもらえず、実弥くんも私を追ってしゃがんで暫く舌を舐めたり吸ったりしたら漸く口を離した。

もう、それはそれは今までサッパリとした健全なお付き合いをしていた実弥くんとは思えないキスで皆あんなに激しくしてるのぉっ!?
もうなんか身体がビクビクしておかしいし、実弥くんの目を見れば雄って感じの目をしていて、本当に食べられてしまいそう。


「分かったかァ?」


「…実弥くんが獣だったって事は」


「…いや、テメェ…伝わってほしい事はそこじゃねェ」


いや、分かったよ実弥くんはドSなんでしょ?言うこと聞かないとお仕置きするぞって事なんでしょ?大人の階段を強制的に登らせるぞコラァと目が訴えてきてる気がする。


「ちゃんと言うこと聞けって事?」


「…それもそうだが、俺が言いてェのは…俺はお前の事が…す、す…」「あぁっ!?」


何かを言い淀んでるところ悪いけど、忘れてたぁ!!大丈夫だろうかっ!?

思い出した私は立ち上がって走りだした。
実弥くんが後ろでおっかない声を出しているが今は気にしてられないっ!!

天元さんの部屋に入ると天元さんは居らず、クローゼット前にタンスが置かれたままになっている。不味い、ずっとこのままだったということか…


「オイ、お前ェ…また天元の部屋に来るとは余程お仕置きされてェ」「実弥くん!このタンス動かして!お願いっ!」


もうっ!そのおっかない顔は分かったから、タンスを退けてほしくて実弥くんの腕を掴んでお願いすると、何やらぶつぶつ文句を言いながら実弥くんはタンスを持ち上げてくれた。
実弥くんもそのタンス持上げられるの?コワぁ〜この兄弟恐ろしいのかもしれない。


「義勇くんっ!?」


クローゼットの扉を開けると体育座りして、膝に顔を埋めている義勇くんがいた。
やっぱり、ずっとこのままだったんだ…


「義勇くん、ごめんね、怖かったね」


頭を撫でると義勇くんがギュッと小さい手で服を掴んできた。可愛い…私は義勇くんを抱き締めると胸に顔を埋めきたのでお母さんのおっぱいが恋しくなったのかなと思った。


シィィィィィとまた変な呼吸音が聞こえて実弥くんを見ると、可笑しいな、何でまたぶちギレてるの実弥くんっ!?
その血走った目を見開いたお顔は絶対に彼女に向ける顔ではないと思うんだ私。うん。やっぱり私って彼女なんだろうか、さっきの濃厚な腰が砕けちゃうキスは何だったんだろうか。もしやキス魔?



とりあえずまた義勇くん、また助けてもらってもいいかな?



end.



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