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3話



「実弥くん、今日は蝶屋敷に行ってくるね」


「…あァ、俺は今日任務で夜は空ける」


「わかった。無事に帰って来てね」


「今日はそんなに危険な任務じゃねェから」


「良かった!でも、実弥くんすぐ傷増やして帰って来るんだから気をつけて!」


「わかってる」


2人で朝食を食べている時に夢が蝶屋敷に行くと告げた時、実弥の動きが一緒止まった事に夢は気づかない。


実弥の傷の手当はだいたい夢がする。
そもそも、傷の手当てなんて必要ねェと思っている実弥だが傷を放置すると夢が悲しむし、生傷が見えてると涙目になるのでそんな夢を実弥自身の方が見ていられなくなるので仕方なく手当ては受ける。
受けるのだが決して余程の重症でもない限り他人に手当てを受けたり、蝶屋敷のお世話になんてならない。


蝶屋敷に入院となれは当然心配になった夢も蝶屋敷に訪れる事になるので、そのせいで夢を他のクソ野郎共の目に晒す事になるなんて絶対にしたくないのだ。


実弥の心情的には、頼むから、大人しく、屋敷にいてくれェ。
と、思ってはいるが余裕がない男とも思われたくないので口には出せないでいる。


蝶屋敷には薬をもらいに行き、また手当ての仕方や知識をたまに教わる。そして、そのお礼に蝶屋敷のお手伝いをしたり、みんなと食事をしたりするのだ。
実弥の思いとは裏腹に夢は割りと蝶屋敷に行くのが楽しみだったりする。


実弥の嫌な予想通りになってしまったのが炭治郎達であった。


今までも夢に寄って来た男共がいなかったわけではないが皆、「風柱邸に住んでいる」ということや、「風柱のとこの女」と分かると否やそそくさといなくなってしまうのがいつもの流れ。ちょっと寂しい思いにもなるが毎度の事なので夢も気にしないでいる。


名を名乗る時は「風柱邸の夢です。」と名乗るようにしつけられているのだ。
これがまた約束事の1つ。
『名乗る時は風柱邸の夢と言う』


『風柱』というの名がいかにパワーワードになっていて男を寄せ付けないか夢は分かっていないのだ。


名のりでさえ実弥によって生活をコントロールされているとも知らずに…


自らが直接注意しなくても害虫を寄せ付けないよう、実弥は365日24時間あれこれ考えている。
歳を重ねる毎に心配性と執着心がレベルアップしていく。実弥自身もう自分でも訳がわかはなくなっているのが正直なところ。


朝食を食べ終え、夢は家事を始め、実弥は鍛練を始めた。


ひたすら腕立て伏せをしながら実弥は思う。

夢にも鎹烏をつけてぇ…

しかし、隊士でもない夢に流石に鎹烏をつけてくれ。なんてお願いはできない訳でそれに代わる何かないか…
自分と離れている時に状況を知らせてくれる何か。


「やっぱり鳥だよなァ…」


そう呟いたところで腕立て伏せが1000回になったので止める。


ふと、何かを思い付いた様子の実弥。


一人でニヤついている。こんなところを一般隊士が見たら恐ろしくて震え上がってしまうだろう。


「実弥くーん、そろそろ行ってくるね!!」


「おォ」


夢が縁側から実弥に声を掛け、それに答えた実弥も見送る為に玄関に向かう夢についていき、いろんな事に気をつけていけよ、と意味を込めて頭にポンと手を置いてやるとニコッと笑って出かけて行った。


「うっし、やるかァ」


夢を見送った後、実弥も気合いを入れて何かに取り組み始めた。


end.

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