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27話




『夢ちゃんへ

やっほー!そんな堅苦しい手紙なんて書かなくていいぞ。俺と夢ちゃんの仲だろ?
なんだって相談に載ってやるぜ!
煉獄の言いたい事は分かった。そんなに重く考えなくても大丈夫だ。病と言えば病みたいなもんだが、夢ちゃんが頑張れば不死川は元気になる。寧ろ、今以上に元気になるよ色んな意味で。

まず、飯は亜鉛が豊富な牡蠣を取り入れろ。昔から精力剤と言われている。貝類は亜鉛が多いし、あと滋養強壮の食材と言えばニンニクは外せねぇな、殺菌効果もある。ニラ、長芋、もいい。生姜、梅なんかも疲れた身体に効くぞ。栄養あるもん食わして元気いっぱいビンビンにしてやれ!

あとな、男は背中を流してもらいてぇもんなんだ。昔から殿様とかは女に身体を洗って貰ってたからな。素手で洗ってやるといいぞ、気持ちいいから。着物でやったら動きずらいだろうし、濡れちまうから肌襦袢でな?あ、前を洗うなら後から手を回してやってみろ。

耳掻きもいいだろう。膝枕から体温が伝わって心地いいし、耳を解されると癒されるもんだ。

まあ、そんな感じで夢ちゃんが頑張れば不死川の身体は元気になるからよ。頑張れ夢ちゃん!また何かあったら連絡くれ、いつでも相談に乗るぜ!

あ、元気になりすぎた不死川には気をつけろ☆


祭りの神☆宇随天元より 』




天元の手紙を木っ端微塵に破り捨てた不死川は驚いてる夢に「そこに正座しろォォ!」とビシッと指を指す。

顔がヤバい。かなりお怒りのようで、小さい頃から本気の説教を受ける時は正座しろと言われてきた。本気の説教は久々。しかもこんな寝る前に。
夢は先程から何故、ここまで実弥が怒り始めているのかよく分からない。
異性と関わる事を実弥が良く思わないので、杏寿郎と天元と関わった事で怒っているんだろうが、内容は実弥を心配しての事。

正座をして、手をぎゅうっと握って膝の上に置いて俯く。
既に実弥はくどくどと説教を始めていて、不思議な事に昔から正座で説教の時は実弥の説教の声はどこか遠くに聞こえるような感覚で夢の頭にいまいち入って来ない。入って来ないし、いつも何で実弥くんはこんなに怒っているんだろう。や、この後、どうしたら機嫌治してくれるかな、おしりぺんぺんは嫌だなと考え事ばかりしていた。
もう、流石におしりぺんぺんは無いだろうが折角、実弥を元気にしたくて頑張った結果が最近で一番怒らせる事になるとは。

悲しいなぁ、怒らないでほしいなぁ。


「おい、聞いてンのか?じっと下向いてるけどよ。ちゃんと俺の言いつけを守れ!守らないか…ら…、お、おい」


がみがみオジサンのように長々と説教していた実弥が狼狽えた。

下を向いているから表情が見えず気づかなかったが、膝の上に置いている夢の拳の上にポタポタと雫が落ちている。
昔からしこたま説教を受けてきた夢だが、泣く事は滅多にない。最後に夢の涙を見たのは虫が苦手な夢に、実弥のカブトムシが脱走してへばりくっついていた時以来だ。


夢の涙を見た途端に燃え上がる炎に水をぶっかけて鎮火したように実弥が大人しくなり、説教は強制終了。

大事な大事な夢の涙を見ると幾つになっても実弥は慌ててしまう。
側に行き、夢を優しく抱き締めて、まるで子供のあやすように背中をポンポンと叩く。


「泣かなくていいだろう、そんなに怖かったのかい」


できるだけ優しく言うと、違うと横に首を振り夢が口を開く。


「上手く、いかな、くて…実弥くん、怒らせて、ばかり。喜ばせ、たいし、元気に…したかったのに」


ああああ、すまん。すまねぇがスゲェ可愛い。泣いてるとこ不謹慎だがスゲェ可愛いと思ってしまった。
夢の気持ちが嬉しい。気が狂いそうな程に愛おしくて愛おしくて堪らない。
すすり泣く音を聞いていると、先程までの怒りが全てどっか行っちまったから不思議。この小さくて可愛い存在を優しく大切にしなくてはと思う。


「俺は元気だ、病気もしてねェ」


身体を少し離し、頬に手をやりお指で綺麗な涙を拭ってやれば夢が顔を上げる。


「本当だ」


「病気、してない?本当に、本当?」


「本当に本当だ。嘘じねェ」


「じゃあ、赤ちゃんできるの?」


「!…夢、子供欲しいのか?」


杏寿郎が言っていた言葉が蘇る。

『夢は子を願っている。』

驚きと期待に心拍数が上がった。


「いつかは、実弥くんのお嫁さんになって、実弥くんとの赤ちゃんほしいよ!」


「いつかって…俺はいつ、うォっ」


「良かったぁ〜」


「俺はいつでもお前と夫婦になる気持ちの準備は出来てる」と口にしようとした所で。夢が実弥の首に抱きついたので、その先が言えなかった。

できる事なら身も心も今すぐ結ばれたい。

『いつか』か…だが、今すぐじゃなくとも夢も同じ気持ちだった事にホッとする。
今日は許してやろう。泣いて疲れただろうし。


「ほら、寝るぞ」


もう一度涙の後を指で拭ってやり、手を引いて起き上がらせてまた寝室に向かった。




それしても、次に宇随に会った時は許さねェ。奴がどんなに足が早かろうが、力が強かろうが絶っっっ対に一発決めてやる。

夢と文通している事も腹が立つし、馴れ馴れしい馬鹿みたいな文章もムカつく。俺を元気にする助言というか、あれは完全に俺の股間を元気にする内容しかない。そして、その手紙の内容を鵜呑みにした夢が俺を癒そうとしてあんな事になるなんて…だが、あれは…うん、とっても良かった。俺の妄想なんじゃねェかと思ったし、今思い出してもやっぱり夢なんじゃねェかと思っちまう。けど、だけど、だ。あれが奴に仕組まれた事だったのは本当に腹立たしい以外の何者でもない。
更に精力剤飯のせいで、ただでさえ健康な俺にあんなに精のつくもん食わされたら俺の分身に栄養が回ってしまってどうしようもねェ。
今も布団に潜って大人しく寝ようとしている夢とは反対に目覚めちまってる。逆に起床時間だと言わんばかりに起きやがった。
それはもう元気いっぱいに力強く。
何で男という生き物は夜になるとこうなっちまうのか…

夢が寝たらこれはこっそり抜け出すしかない。そう決めて、夢に当たらないように少し腰を引き気味にして軽く夢の身体に腕を回す。

目を瞑る可愛い顔を眺めていると、目を瞑ったまま夢が俺の名前を呼ぶ。


「なんだァ」


「赤ちゃんって、どうしたら、できるの?」


「…前にも言っただろ、深く愛し合うと出きるもンだァ」


「…こう?」


眠いんだろう、目を瞑ったまま夢も俺の身体に腕を回し、ぎゅうぎゅうと力を込めて来る。めっちゃ可愛い。


「もっとだな」と言うと夢が腕だけではなくて足も俺の身体に巻き付けてきた。そんなに密着したら…


「…ん、なんか」


夢の身体に当たってしまった。
目覚めた実弥の分身を不思議に思った夢が手を伸ばし、さらりと撫で上げる。


「実弥くん…」



end.




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