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13話




夢は昨日、爆睡した。

なんと濃い1週間だったかと思う。毎日いろんな事があったように思うけど昨日は特に凄かった。来週はもっと平和な1週間を過ごしたい。

不死川と週末にお出かけに行く事になったり、ペアの浴衣にされたり、伊之助に噛まれ、宇随にはからかわれ…そして、帰り際の不死川の"俺に慣れろ"という言葉は今思い出してもドキドキしてしまう。

最近の不死川にドキドキさせられっぱなし。
そして、不死川と関わる機会が多くなったと思う夢。


やっと訪れた土曜日。しかし、明日は最早お礼にはなるとは思えない不死川とキメツ臨海公園に行く日でその準備をしなくては。
お昼前に掃除洗濯などの家事を終わらせて近くのショッピングセンターに出かける事にした。




「ん〜やっぱり人が多いなぁ」


土曜日のショッピングセンターは人が多い。
先ずは本屋に行き料理本を立ち読みしにきた。

何冊か料理雑誌をチラ見した後にキャラ弁の本を手に取ってパラパラ見ていく。
そうか、料理に刺すピンが可愛いだけでもちょっと華やかに見える気がする。ピンは是非買って帰ろう。
次に夢が手に取ったのは『彼が喜ぶお弁当100選』。中身を見ていくとやっぱり肉料理が必須のようで、そして、見た目もキャラ弁では無いにしても可愛いものが多いように思える。

ん〜不死川さんも可愛いお弁当の方が喜ぶのかな〜?
そう考えながら、はっ!自分は彼女気分で何を考えてるんだ。そんな私なんかが図々しい…危ない、勘違いしないようにしなければまた痛い目を見てしまう。

いけない、いけない、と思いながら『彼が喜ぶお弁当100選』を本棚に戻した。


本屋を後にした夢は食品売場に向かう前にふらっと自分が好きな服のショップに立ち寄るとシフォン素材のガウチョパンツが目に入る。

薄いエメラルドグリーンで綺麗だなぁと思って立ち止まって見ていると店員が話しかけて来た。


「綺麗なお色ですよねー、お客様のネイルと一緒でお似合いです」


「はいーつい足が止まっちゃいました」


ニコニコで笑顔が可愛らしい美人な店員がガウチョだけど素材がシフォンなので上品なのでデートにもおすすめですよ。なんて言ってくる。


「デ、デート…」


「はい!是非デートに」


デートじゃないんですよ…と恥ずかしそうに答える夢に店員はくすっと笑って、先ずは試着してみましょうと上手く誘導され、試着室に入れられてしまう。
とりあえず着てみるとサイズもピッタリで値段もお手頃価格なもんだから余計に悩ましい。
試着室の外から先ほどの店員に声を掛けられたので、姿を見せると商売だから当たり前かもしれないがとても褒めてくれる。


「きっと、可愛いって彼も言ってくれますよ!」


「か、彼氏じゃないですよ!ただ、ちょっとお出かけするだけで…」


「ふふっ…こちらのガウチョ、男性受けも結構いいみたいですよ?彼女さんに買っていこうか迷っていた方もいらっしゃいましたし」




結局、夢は薄いエメラルドグリーンのガウチョを買い、店員に笑顔で見送られた。

店員のお陰で明日の事を思うと余計にドキドキしてしまったではないか。

一人で勝手にドキドキして疲れた夢は、後は食品を買って帰宅した。




不死川はというと、昨日は会社の数人の野郎共に不愉快な思いをさせられ、グループトークで文句は言ってやったものの、あまり気分が晴れず、ハイボールを飲んで早いところ眠りに就いた。

翌日、目が覚めるとついに明日か!やっと夢とデートだ、やっと独占できる。そう思うと朝から気分が高揚して仕方がない。昨日の不愉快な野郎共の事はもう不死川の頭からはすっ飛んでいた。

そして、不死川も男であるから万が一の事を想像してしまう。初デートだし、明日は勿論我慢して健全なデートにするつもりだが万が一があるかもしれない。男は馬鹿な生き物だからありもしない万が一の為に準備をしなくてはと思ってしまう。
何度も言うが万が一、夢が不死川とあはんうふんな関係を望んでこの家に来るかもしれないので先ずは家の掃除、そして、車の掃除にベッドシーツを新調する。あと、無音カメラのアプリをダウンロード。

こんなにわくわくしたのはいつぶりだろうか。

強面なその顔に似合わない鼻歌を歌いながら自宅を掃除し、洗車に向かう。
洗車場でも回りの目も気にせず、鼻歌混じりに車をカピカに仕上げ、車内のホコリも落とし、微かに優しい香りがする消臭剤を振りかけていく。


あぁ、明日はこの助手席に夢がお弁当を持って座る。想像してニヤつく程に浮かれていた。


それからショッピングセンターに来た不死川は寝具コーナーで腕を組んで真剣に悩み、ストライプでサテン地にするかマイクロファイバー素材にするか悩んだ。
妄想した結果、マイクロファイバーは結構暖かい印象があるのでサテン地だとちょっと寒い…と夢が自分にくっついてくる可能性がある。と考え、ストライプのサテン地を選ぶ事にした。

後は夜ご飯を買って帰るかと思ったが途中で肌触りの良さそうな膝掛けが目に入り、これは良い!と購入。今度こそ食品コーナーへと歩いている不死川が女物のショップのある商品に目を奪われ、吸い寄せられるように近づいていく。

マネキンが来ている服が夢の選んだ浴衣を連想させる物でじぃと見てしまい、少しすると店員が寄ってきてしまった。


「いらっしゃいませ〜、彼女さんにですか?」


「あァ」


「綺麗な色ですよねー!こちらウエストが半分ゴムなのでサイズがハッキリ分からなくてもいけちゃうと想いますよ」


成る程。浴衣とネイルをお揃いにしたが、是非ともこれも着せたい。俺色に染めたい。なんて柄じゃないクサイセリフまで頭に浮かんでしまった。
でも、流石にいきなり服をプレゼントしたら引かれる気がする。かなり惜しいが今回は止めておく事にして、店員にまた来ると伝えて立ち去った。

簡単に晩御飯を買って帰った不死川は肌触りのいい膝掛けを洗濯機に入れて回し、ソファに座ると携帯を見る。
夢からは何も連絡が来ていないが、送り狼グループトークには未読があった。

開くと、宇随が明日デートだな!何処に行くんだっけ?と質問していて、伊黒がキメツ臨海公園なはずだ。と答えて勝手に話が進められていく。


「ったく…伊黒のヤツ」


黙っていてくれればいいものを…また甘露寺から聞いたんだろうが。もし、ふざけて宇随が邪魔しに来たりしたらどうしてくれるんだ。
その心配した通り、トーク画面をスクロールしていくと、宇随はちょっと遠いな…なんて言っている。

少し焦って絶対に来るなよ!来たら殺す!と送信。
ははは冗談だよ。とふざけたスタンプと共に送られて来た。

コイツ等の場合は本当にやりかねない。
確実に来ないようにもう少し釘を刺しておこうと思いメッセージを送る。


『来たらテメェの性癖ばらす』

『え、俺、そんな変な性癖ないけど?』

『よもやっ!過去の変態プレイを忘れたな!?』

『自分の行いも覚えていないとは…』

『え、マジでわかんねぇんだけど…』と困り始めた宇随は放置。




早く寝ようとしてベッドに潜り込むがなかなか寝れそうにない。

早く会いたい。
明日はどんな服を着てくるのか、どんな顔を見せてくれるのか。
そして勿論明日だけで終わらせるつもりもない。次回のデートの約束を必ずし、週末は一緒に過ごすのが当たり前にしてやろう。


絶対、捕まえてやるからな。



end.

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