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19話




はーードキドキした。

触られるとドキドキすると言うよりは変な所を触られるとドキドキするのかもしれない。
ただ、抱きしめられている時はほっとするなぁって思っていたのにお尻を撫でられるとドキドキして恥ずかしくなったので慌てて離れた。

私って…もしかして変態なんだろうか…
なんかちょっと実弥くんの顔を見ずらいと思う。

どうしようと悩みながらお味噌汁の具材を切っていく。




その頃、実弥は居間で一人茶を飲んで気持ちを落ち着かせようと頑張っていた。


なんだァさっきのは…ぎゅっとしてくれって可愛すぎるだろ。

胡蝶達と何を話して来たのか、きっとその影響に違いない。やはり後で確認しておきたい。

それにしても無意識に尻を撫でてしまったが自分にはないあの柔らかさ。
どんどん助平な欲求が止まらなくなってきている。
これは早いところ夢に結婚を意識してもらわないと、結婚まで我慢すると決めていた覚悟が簡単には崩壊してしまいそうだ。


あぁ、駄目だ。落ち着くどころかさっきの夢の尻を忘れられなくてムラムラが治まりそうにないので実弥は湯呑みを置いてすっかり元気になってしまった分身を落ち着かせに居間を出て行った。




夕飯を2人を食べていると夢からチラチラと不自然な視線を感じる。

なんだァ?と実弥は思いながらも気になっていた事を聞くことにした。


「女子会とやらはどうだったんだァ?」


「私の知らない話を沢山教えてもらったよ」


知らない話ってなんだァ!?

全部説明してほしい。お前の事は全て知っておきたい。何を聞いて何を思ったのか。


「それに凄く楽しかったの!また呼んでくれるかな〜?」


余程楽しかったのか思い出して嬉しそうな顔をしている。
夢にそんな顔をさせる相手が女だろうと実弥は面白くない。
更に言うと、人に限らず実弥は動物にでもなんでも嫉妬する。


「そうかァ…俺の事はあの2人何か言ってなかったか?」


「…イイエ、特ニハ…」


はいぃ!嘘ー!嘘だろォ!ゼッテェー胡蝶辺りが余計な事を言ったなァ!

そして夢は俺に嘘つきやがったのでお仕置き決定。

明日から1週間任務で離れなくてはならないし、最後までやらないにしてもお仕置きと題してアイツを堪能してやろう。


ご飯を食べながら実弥は心の中で覚悟しとけよ。と念じ、何やら実弥から感じる不穏な雰囲気に夢は意味も分からず身震いした。




風呂を済ませて今日は一緒に床に就く。
明日から実弥は1週間の少し長期任務になる為、今日の夜は任務はお休み。

先に風呂から上がった夢が髪を乾かし、自分の布団に入りぼーっとしていると実弥が寝室に入ってきた。

横並びの布団に入るのかと思いきや実弥は布団を畳み始め、え?何してるの?と思った夢は実弥を凝視する。

畳んだ布団は押し入れに仕舞われ、実弥は普通の顔をして夢の布団に潜り込み、腕を回して夢を抱き締めた。


「ど、どうしたのいきなり」


「…明日から、暫く居ねェから」


まじまじと実弥の顔を見ていた夢がくすくす笑いだす。


「ンだよ」


「実弥くん、可愛いな。と思って」


「はァ?」


可愛いのはお前の方だし、そんな事言われても男は嬉しくねェ。


「こんな強面なのに…寂しいから一緒に寝ようと思ったんでしょ?」


「お前が…寂しいかと思っただけだァ。必要ねェみたいだから布団出すわ」

「待って待って、ごめんって」


可愛いやら寂しいやら随分馬鹿にされたような気持ちになってしまった実弥はちょっと傷ついて不貞腐れてしまった。
今の状態を天元が知ったら不死川スネ弥だなと馬鹿にするだろう。

365日24時間ずっと一緒にいたい実弥にとっては1週間離れるなんて寂しいし、夢がどう過ごしているのか気が気じゃない。
勿論、任務で長く家を空けるのは今回が初めてではないけれど夢と離れる事に全く慣れないし、寂しい、離れたくないと思っているのは自分だけのように感じる。
夢は1週間会えないというのに余裕さえ感じ、それが余計にスネ弥の不貞腐れて具合を加速させた。


夢もちょっと申し訳なく思い、布団から出て行こうと夢を放して立ち上がろうとしたスネ弥の身体に腕を巻き付けて動きを停止させる。


「一緒に寝てくれた方が私も安心するから」


「ね?」と己のお腹辺りにすがり付く夢に上目遣いで言われた実弥はドキッとし、大人しく布団に戻り、横抱きで夢を抱き締め直して顔を眺める。
その様子に夢もホッとして実弥の顔を見つめる。


「今日はやけに顔見てくるなァ」


「女子会でね、蜜璃さんが実弥くんのどんなところにキュンキュンするのか聞かれたの。恋をするとその人の顔とか声とか男らしいところにキュンキュンする…」


「ちょっと待てェ…お前、俺に恋してるのかァ?」


夢の言葉に実弥の心拍数が上がる。今の言葉を聞く限り期待せずにはいられない。


「正直、恋してるって感覚がわからないんだけど実弥くんは家族みたいなもんだし。でも、好き合ってる同士なら恋仲でしょ。って言われたからそうなんだ〜って。実弥くん、この前私の事好きって言ってたよね?」


なんなんだ、なんなんだこの可愛い素直な生き物はァ!!そして、甘露寺テメェ良いことしてくれたなァ!!

初めて実弥は夢を外に出して良いことがあったと思った。
そして今度、桜餅を蜜璃には奢ろうと思う。


「あァ、好きだァ」


「私も実弥くん好きだから恋仲って言うのかなぁって思ったの。だから、私は実弥くんのどこにキュンキュン?ドキドキするのか考えてて、実弥くんの顔をじぃーと見てました」


「…で、ドキドキしたのかァ?」


「顔は見慣れ過ぎてドキドキしないけど、改めて見ると強面だけど綺麗な顔立ちしてると思う」


顔立ちが綺麗と思われようがドキドキしてもらえない事に少しガッカリ。


「抱き締められてもドキドキはちょっと違うかな?安心する感じ」


全然ダメではないか。男として意識されてない。
一気に舞い上がった気持ちを今度は徐々に落とされていき、寧ろやっぱりこのままだとやっぱり恋してなかったと言われてしまうのではないかと冷や冷やしてきた。




「だけどね…最近、実弥くんが口づけしてきたり…いろいろ触ってきたりするでしょ。そ、それをされると身体が変になるし、凄くドキドキするの」

そう言って見上げてきた夢に落ち込んでいた気持ちが一気にどっかに吹っ飛んでいき、実弥は愛おしくて愛おしくて仕方がなくて夢を思いっきり抱き締めた。



end.


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