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16話




廊下に出ると少し離れた所で実弥が天元に羽交締めにされ、蜜璃にも暴れる身体を押さえつけられていた。


「胡蝶ォ!夢はどうなんだ!大丈夫なのかァ!?」


廊下に出てきたしのぶの姿を見て実弥が吠える。


「夢さんは病気でもなんでもなく健康です」


それを聞いた実弥も天元も蜜璃も身体の力が抜けてホッとした。


「じゃあ夢の身体の異変は何だったんだァ…」


しのぶはニコニコしているが何となく怒っているような気がすると天元と蜜璃は思う。


「不死川さん、夢さんは世間一般的な知識が掛けている部分があります。それは貴方のせいですよ?貴方が夢さんを可愛い可愛いと屋敷に閉じ込めていたせいで貴方が与える知識しか基本的に持ち合わせていない。また性的な話から態と遠ざけていますね?そのおかげでこの年になっても子がどうやって出来るかも知らないみたいです。そんな何もしらない夢さんに手を出そうとしたんですか?夢さんは貴方に身体を触られ、反応して濡れた事を理解できず、"ナメクジに塩をかけたらヌルヌルして溶けてなくなる"と言われた事を思いだし、自分が濡れた事をナメクジと同じく溶け出したと思い、このままだと溶けてなくなる病気だと思い込んだみたいです。不死川さん全部貴方のせいですよ」


しのぶは一気にすらすらと実弥への批判と夢が何故、病気と勘違いをしたかを述べた。
それを一緒に聞いていた天元は「はぁ?」と呆れた声をあげ、蜜璃は顔を赤くして「不死川さん、破廉恥だわ!」と顔を手で覆う。

実弥はといえば、皆の前で己の痴態を暴露されたと言うのに少し恥ずかしそうだが嬉しそうな顔をしている。


「何、喜んでるんですか不死川さん?今度から、私は貴方の事は変態柱って呼びますよ?」


「ブッ、ハハッ!そりゃいいピッタリじゃねぇかっ!変態柱さんよぉ」


天元に馬鹿にされ、蜜璃にも吹き出して笑われるも今の実弥は気にならない。

しのぶの横を通りすぎ、診察室の扉を空けた。


「夢!」


実弥は思いっきり抱き締める。


「お前が何ともなくて良かったぜェ」


「病気じゃないと言われたけど結局なんだったのか…」


「…お前の身体が俺に感じ、イッテェ!!」


「不死川さん!止めなさい!」


夢を抱き締めたままの実弥の頭をしのぶが殴ったのだ。

実弥が頭を押さえて振り返るとそこには笑顔だが額に青筋を浮かべたしのぶがいた。


「不死川さん変態もいい加減にしてくれます?人前で何を話そうとしてるんですかー?」


これには実弥も大人しく「悪ィ」と謝った。


「しかしあれだなー夢は何も知らないのかー俺が教えてやろうか?」


「テメェ、殺されてェのか!」と怒鳴る実弥とは対象的に夢は「お願いします!」なんて言うもんだから場がややこしくなる。


「お前も何言ってんだァ!」


「だ、だって何なのか知りたいし…」


「なんなら実践でも構わないぜ?」と完璧に天元は面白がって言っている。


「ふざけた事抜かすんじゃねェ!」


「実弥くん、そんなに怒らなくても。宇髄さんは親切に」「お前なァ!」と夢の肩を掴んで言葉を遮った。


「コイツが言ってる実践ってのはなァ!コイツのイチモ…イッテェ!!」


「だから止めなさいって言ってるでしょっ!!」


また、しのぶの拳骨が炸裂した。




その後はしのぶにもう、帰りなさい。と追い出され、気づけば夢は草履すら履かずに連れて来られていたので、また実弥に抱えられながら帰る事になった。

帰る時にしのぶには「もし、不死川さんに嫌な事されたらいつでも逃げてきていいですからね?」と言われ、天元には「お前ならいつでも教えてやるからな」と耳打ちされたが、実弥にも聞こえてしまいまた怒り狂い始めてしまう。

怒り狂う実弥に舌を出して天元は「またな〜」と逃げて行き、蜜璃も「なんともなくて良かったわね!今度はお茶しましょう」と手を振って別れた。




「やぁ、実弥く、ん、それ、やぁだぁ」


屋敷に帰って来た実弥はまた夢を座って後ろから抱き締め、また耳をいじり始めた。


「夢は俺の事好きかァ?」


「う、ん、好き、好きだよぉ」


耳を舐め、甘噛みをしたり。
その度にびくびく反応するのが可愛い。


「そうかァ。俺も夢が好きだァ。男はなァ、好きな女の身体に触れたくなるもんなんだァ」


「そう、なの?」


「身体、こっち向けェ」


抱き締める腕を緩めてやると夢が恥ずかしそうにしながらおずおずと実弥の方を振り向く。


実弥は夢の頬を優しく両手で包む。


「お前が何ともなく安心したぜェ」


今の自分は眉を下げて情けない顔をしているだろう。
そのまま顔を寄せて夢の唇に自分の唇を押し付けた。

数秒押し付けてから離れて顔を見ると夢の顔は真っ赤になっている。


「実弥くんは、恥ずかしくないの?」


「ちっとも恥ずかしくねェし、足りねェ」そう言って次は軽く下唇に短くチュッと吸い付いて離れた。


何かを言いたげに口をあわあわしている夢に今度は少し長く唇を吸ってやると「んんっ」とくぐもった声を出し、実弥は片手を頭の後ろに回して押さえ、唇を舐め上げる。

「ふぁ」と口を開いたと同時に口内に舌を滑り込ませた。

逃げようとしている舌を舌先で舐め上げると夢の身体が震える。
どんどん堪らなくなって初めてなのに口付けが激しくなっていく。
逃げる舌をとらえて、絡めて、吸い上げる。

息が苦しくなって実弥の胸を叩けば離れてくれた。

夢の口端から唾液が垂れ、それを実弥が舐め取ると恥ずかしさの限界を超えた夢は自分の両手で顔を覆う。


「も〜恥ずかしくて、恥ずかしく、死にそう!」


「こんぐれェで死にそうって言ってたらこの先持たねぇぜ?」


「この先?この先に何があるの?」と聞けば、耳に口を寄せて「もっと恥ずかしい事だァ」と囁き耳に口付ける。


「無理!死んじゃうし、もう……ヌルヌルになるんだって!」と言う夢を抱き締めて実弥は嬉しそうに「それは俺に身体が反応してるって証拠だから俺は嬉しいぜ」と教えてやった。


「徐々に馴らしてやるから安心しろォ」と言われたが安心出来そうな感じがまるでしない。
今夜も鬼狩りに行く実弥は仮眠をすると夢も布団へ連れて行く。

後ろから夢を抱き枕のように抱き寄せてすぐにスヤスヤと眠るが、実弥の息が耳に掛かり、その度に身体がぞくぞくと反応するものだから夢は寝れそうにないのだった。



end.




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